海外紙が分析する、米中サミットの「成果」とは?

 7日~8日、中国の習近平国家主席がカリフォルニア州ランチョ・ミラージュの保養地サニーランズを訪れ、オバマ米大統領と非公式会談した。両首脳は食卓で歓談したり、通訳のみを伴って散策するなど、親交を深めたと報じられているが、大きな具体的外交成果にまで至ったかどうかについては、各紙は懐疑的である。

【会談の内容】
 習近平主席は北朝鮮にあまり同情を感じていないとされ、中国が北朝鮮の同盟国であり経済的な命綱であるという立場から、北朝鮮の核放棄に向けて圧力を強める期待がされていた。
 中国側は朝鮮半島の非核化という目標に関しては、米国と一致しているようである。ニューヨーク・タイムズ紙は、このままでは韓国や日本が独自の核武装に走り、太平洋地域への米軍配備の重点化にもつながるという事態を避けるためという、中国にとっての協力メリットを指摘している。

 オバマ政権が重視する中国人ハッカー問題については、大統領は問題の重要性を力説したと報じられた。中国側は重要性を認め、本件が7月の定期戦略経済対話の一環として取り上げられるにあたり、両首脳がその「作業部会に指針を提供した」と報じられている。

 一方中国側は、中国の通信機器メーカーが米国に参入することや、米国最大の豚肉生産業者スミスフィールド・フーズの中国企業による買収が、米議会で危険視されていることなどについて、障壁の緩和を求めたと報じられている。

 さらに習近平氏は、「広大な太平洋」が両大国を安住させるに足るほど広いと発言しており、近隣諸国の領土紛争などへの米国の介入を牽制したとみられる。

 また両国は、温室効果ガスであるフロンガス規制の点で合意したほか、米中両軍の定期的会談や、詳細未定ながら今回同様の非公式サミットを次は中国で行うことなどで合意したと報じられている。

【温度差】
 ドニロン国家安全保障顧問は、北朝鮮問題について「進展があり」、ハッカー問題が両国関係の「本当に中心になった」と明言するなど、会談の成果を強調している。
 しかし中国の楊潔チ外交部長(外相)は、北朝鮮については「今差し迫った必要性としては、できるだけ早く対話を再開することです」(米国は北朝鮮が態度を改めない限り対話しないと表明している)、ハッカー問題については「それが両国間の相互不信の根本的な原因になってはならず、むしろそれは我々の協力関係の起点であるべきです」と発言するなど、ドニロン氏の発表と比べると温度差がある。
 また中国国営新華社通信は、「中国が国家主権と領土保全を守られるべく決定されていることを再確認した」「(習近平氏の)イニシアチブの勝利」などと報じている。

 詳細な会談内容が明らかでない中、双方とも自国の外交的成果を誇大発表している可能性が見え隠れする。

Text by NewSphere 編集部