日本の株暴落は何を意味する? 海外紙の検証とは
23日、日経平均株価が7.3%下落し、2011年の震災以来最大の1日下げ幅となった。
金融危機クラスの暴落であるが、大幅な下落は日本だけであり、スタンダード&プアーズ500株価指数は0.3%下落、ダウ・ジョーンズ工業株平均は0.1%下落、ナスダック総合指数は0.1%下落、その他英仏独の諸指標は2.1%程度の下落、などとなっている。
各紙は、概ね日本経済の先行きへの不安ではなく、個人投資家など短期的トレーダーが主導した売り抜け気配の結果と見ている。 フィナンシャル・タイムズ紙によれば、アナリストらは「9営業日前のレベルに戻っただけ」と指摘し、落ち着いている様子である。
【きっかけは?】
各紙は、前日に米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が、景気刺激措置の縮小を匂わせたことや、中国製造業の購買担当者指数が50を割った(マイナス評価を意味する)と発表されたことがきっかけと見ている。
ニューヨーク・タイムズ紙によれば、FRBが刺激措置から手を引き始めるのはおそらく年末以降で、雇用や住宅販売などの米経済指標がもっと明確に上向いてからだと予想されていたため、意外だったようだ。
日本の甘利経済相は、ここ数ヶ月の間に「予想よりも早く」日本株が上昇しており、中国データなどがトレーダーに「いっぺんに利益を回収してしまうよう」促す形になったと述べた。
【暴落に至った不安定性】
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、そもそも最近の株高傾向自体が実体経済の強さを反映しているわけではないと報じた。「安倍は日本国債をたくさん買って円を下げる以外大したことをやっていない」などとする、ヘッジファンドの見方も伝えている。
また、株価が一定以上下がった場合に自動的に売却される「トレーリングストップ」注文が一斉に起動することで、暴落につながったとの観測も伝える。
フィナンシャル・タイムズ紙は、証拠金取引に関する規制が緩和されて短期的個人投資家の参入が大幅に増えたことで、市場が不安定性を増していると指摘した。
また同紙は、今後アベノミクスの「第3の矢」が放たれるに伴って、単純に円安で利益を受ける輸出業者よりも、構造改革を有利に受ける立場の企業が買われて行くだろうと予測する。