バーナンキFRB議長の発言に、世界が注目の理由 金融緩和の終焉へ向けた一歩か?
バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は22日、上下両院合同経済委員会で証言し、現行の金融緩和策を当面維持する考えを示した。さらに、今後数回の会合で緩和策を縮小する可能性に言及した。一方、「早計な引き締めは、景気回復の遅れや終息を招く多大な危険性をはらむ」とも語っている。
またFRBは同日午後、4月30日と5月1日に開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録を公表した。その中で「雇用などの改善次第で、量的緩和策を6月にも縮小できる」との見方があることがわかった。
ニューヨーク市場ダウ平均は22日午前、バーナンキ議長の発言開始から急伸。しかし午後にFOMC議事録が公表されると、一転、急落した。結局、前日比80ドル41セント安の1万5307ドル17セントで取引を終えた。
米国債は10年債利回りが2%超に上昇し、3月半ば以来の高水準となった。
海外各紙は、量的緩和策の終焉に向けた第一歩として注目した。
【雇用市場への懸念】
共和党のブレイディ下院議員は、「雇用を生む経済支援なしに、新しい金融バブルを誘発する可能性」を懸念しているとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じた。
同紙は、現行の資産購入プログラムが終わっても、ほかの金融緩和政策は何年か続くとみている。実際FRBは、失業率が6.5%に改善するまで、ゼロ金利を続けるとしている。
この懸念を踏まえ、バーナンキ議長は「雇用市場が改善するまで(緩和策を)継続する」とも述べている。
【ウォール街の見方】
「6月にFRBが方向転換するのは勝算が少ない」、「購入減速の開始は夏の終わりか秋の始めだろう」というアナリストらの見解をニューヨーク・タイムズ紙は掲載した。
フィナンシャル・タイムズ紙も、「9月のFOMC会合での可能性が濃厚」との見方を示した。
また購入減速すれば、投資家が「終焉への大きな一歩」ととらえるのでは、と指摘する声もある。
バーナンキ議長は「購入を減速しても、自動的な資産購入プログラムの完了を目指しているわけではない」と述べ、この懸念を払拭しようとした。