世界が「北極評議会」に注目 その理由とは?
15~16日、スウェーデンのキルナで、北極評議会の閣僚級会合が開かれる。
北極評議会は、北極圏周辺の8ヶ国(カナダ、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、ロシア、スウェーデン、アメリカ)によって、1996年に設立された。北極圏における国際的なルールづくりを目的としている。北極海では、近年氷の減少が進んでおり、新航路の開通や地下資源採掘などが期待されている。
海外各紙は、これらの利権を得るため、各国が北極評議会への参加を求めている現状を報じている。
【北極海の変化がもたらすメリット】
ロシアの大きさほどの氷に覆われた北極圏で、氷の減少が加速している。北米北極研究所によると、昨年には、大陸の氷の面積は、1980年から2000年の平均に比べ、約半分になったという。さらに、氷の厚さは80%も薄くなっているそうだ。
米国は、3年から5年以内に、北極海はシャーベット上の氷と海水になってしまうと予測している。
これにより、東アジア、アメリカ東海岸、ヨーロッパを結ぶ航海が、より早く安くできるようになる。フィナンシャル・タイムズ紙によると、ヨーロッパとアジア間では、距離にして数千km、時間にして4~5週間の短縮が可能になるという。
さらに、北極圏には、石油や天然ガスなど、豊富な資源が眠っているとみられている。これまで障害となっていた厚い氷の減少により、各国の開発が本格化するだろうと、各紙は予想している。
【注目を集める北極評議会】
こうした背景から、北極評議会の会合の行方が注目を集めている。英BBCは、「いままでは影の薄い存在だった」会合だが、今回はケリー米国務長官も出席すると報じた。
さらに、日本を含む多くの国が、北極評議会へのオブザーバーとして参加を求めていた。オブザーバーは、議題についての議決権はないものの、閣僚級会議以外のすべての会議に参加できる。オブザーバーになるには、全会一致での賛同を得る必要がある。
フィナンシャル・タイムズ紙によると、今回の会合で、日本や中国、韓国などがオブザーバー資格を認められた。アジア圏では初となる。なお中国については、カナダとロシアが強く反対するなど意見が最も割れていた。
今後、北極協議会は、各国の利害調整の場としてさらに重要度が増すといえる。