安倍首相の歴史認識、転換か?海外各紙が分析する理由とは
安倍首相は8日、予算委員会で「我々は、日本が多大な被害を引き起こし、アジアの人々を苦しめたとの、過去の内閣と同じ認識を共有しております」と発言した。
前日には岸田外相が「日本政府は謙遜の精神で歴史の事実を認め、深い反省の意と心からの謝罪を改めて表明し、国内外すべての犠牲者への深遠な哀悼の意を表明するものであります。安倍総理も同じ見解を共有します」と述べていた。
また菅官房長官も「政府は国内外の全戦争犠牲者に心から哀悼の意を表明しており、そこに何ら変化はございません」と発言していた。
これらの発言は、日本の戦争責任や従軍慰安婦問題について、1993年に河野官房長官、1995年に村山総理がそれぞれ行った公式謝罪を再確認したものだ。
安倍首相は以前からこれらの歴史認識に疑いを呈しており、4月23日には「『侵略』を構成するものの定義は、学界や国際社会で確立されておりません」「国家間に起こった事は、どちら側から見るかに応じて異なって見えます」などと発言して、日本が「侵略」を行ったとの見方を否定しているように受け止められた。ちょうど麻生副総理ら閣僚や、国会議員団160名以上による靖国神社参拝が行われたこともあって、中国や韓国からは反発を招いていた。
各紙は、安倍内閣の姿勢の急転換について、北朝鮮問題や中国の増長懸念などを前にして、同盟国間の亀裂を懸念する米国からの圧力を示唆した。
トーマス・シーファー元駐日米大使は先週、従軍慰安婦への謝罪を見直すことは、日米関係を損なうと警告していた。
また今週オバマ米大統領と会談した朴槿恵・韓国大統領は、「日本は、過去の傷を開いて疼かせてきました」「日本が自らを省みることを願っています」などと不快感を訴えていたという。