フェイスブック決算堅調 それでも解消されない懸念とは?

 米ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手フェイスブックが1日、第1四半期決算を発表した。売上高は前年同期比38%増の14億6000万ドルとアナリストの予想を上回ったものの、1株当たり利益は12 セントと予想を下回った。利益は同7%増の2億1900万ドルで、特にモバイル広告の伸びが顕著だった。広告収入に占めるモバイルの割合は30%で、前期の23%から増加した。
 ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は1日、決算発表後の電話会見で、「モバイル広告から堅調に収入が上がり始めている」「新商品開発ではなく広告の質の向上に焦点を当てている」と述べ、昨年始めたニュースフィードへの広告挿入などに言及した。
 シェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)は、「我々の成長は特に新しい中小の広告主やダイレクトマーケター、アプリ開発者の影響が強い」と述べた。
 フェイスブック離れについての質問には、「日間アクティブユーザー数は26%増の6億6500万人、月間アクティブユーザー数は23%増の11億人となった」と述べ、アナリストらの懸念を和らげようとした。モバイルからの月間アクティブユーザー数は54%増の7億5100万人に達したという。
 フェイスブック株価は1日、27.43ドルで終了した。
 海外各紙は、前年同期の決算ではゼロに近かったモバイル広告収入の伸びに注目した。

【投資家らの懸念】
 昨年の新規株式公開(IPO)当時、同社はモバイル事業を始めておらず、投資家らからはモバイル戦略を求める声が高まっていた。今回の発表で懸念の声はやや静まったものの、モバイルアプリインストール広告など新サービスの開発に多額の資金を使っているため賞賛の声はなかった。
 その他にも同社は第1四半期中、ニュースフィードの刷新やアンドロイド端末向けアプリ「Facebook Home」のリリースなどを実施した。
 投資家らはこれらの機能がお金を生むかを知りたがっているとフィナンシャル・タイムズ紙は報じた。

【アナリストの見解】
 「全体にわたって軌道に乗っている」というアナリストのコメントをニューヨーク・タイムズ紙は掲載した。一方、スマートフォンの画面が限られているため、「中期的にモバイル広告からどれだけのお金を絞り続けるか懐疑的」とする、一部のアナリストの見解をウォール・ストリート・ジャーナル紙は掲載した。
 同紙はまた、ユーザーのスマートフォンへの移行と同じスピードで各ブランドが広告をモバイルへ移行していないと指摘した。米国調査会社 eMarketerによると、米国のデスクトップ広告市場はモバイル市場の5倍となると予測しているという。第1四半期の同社のデスクトップ広告の売上高は、前年同期からやや減少し、約8億7100万ドルだった。

Text by NewSphere 編集部