隠しきれない強制支出削減の痛み、FRBの量的緩和どうなる?
米連邦準備理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)は1日、QE3(量的緩和第3弾)による月間850億ドルの資産購入を継続し、かつ今後の経済情勢に応じて購入額を変動させる方針を声明で明らかにした。
FRBは昨年9月、月間400億ドルのモーゲージ担保証券購入を始め、12月には月間450億ドルの財務省証券追加購入を発表していた。声明は「雇用市場またはインフレの見通しの変化に応じ適切な政策緩和を維持するため、FOMCは買い入れのペースを加速もしくは減速させる用意がある」などと述べており、12委員中11人の賛成で承認された。エスター・ジョージ委員(カンザスシティ地区連銀総裁)のみ、「将来の経済・金融不均衡のリスクを増加させる」として、大規模介入の継続に反対した。
声明は、経済は緩やかなペースで成長を続けており「住宅部門はさらに強化されている」としている。一方、3月の強制支出削減に伴い「財政政策が経済成長を抑制している」と、従来よりも強い口調で指摘した。
実際、ADP研究所の最新の調査結果によると、4月の民間新規雇用数は、15万5千の事前予測に対し、昨年9月以来最低の11万9千に留まっていた。またマクロ経済アドバイザーズの調査では、第2四半期の経済成長率は、第1四半期の2.5%に対し、1.2%と予測されている。
インフレ率について、声明は2%目標の「やや下を推移」していると表現するが、29日商務省の発表では、3月の消費者物価は前年比1%増で、2009年後半以来最小の増加率である。
各紙は、FRBは量的緩和を段階的に廃止したいと考えているとみている。ただ、一応経済回復はしているとはいえ、予想ほど強くない状況において、まだ簡単にやめられそうにないとも分析している。
声明では、少なくとも失業率が現在の7.6%から6.5%以下になるまでは、超低金利政策を続けると述べている。ブルームバーグによると、今すぐ資産購入額の増減がかかると考えるエコノミストはいないが、第4四半期に500億ドル程度まで削減、2014年前半に完全終了を予測する声が多いようだ。