続く北朝鮮の核挑発 アメリカ・韓国の対応は?
韓国の聯合ニュースは21日、韓国政府高官の話として、北朝鮮が日本海側に短距離ミサイル「スカッド」用とみられる移動式発射台2台を追加配備したと伝えた。これで日本海側には、中距離ミサイル「ムスダン」を含め、合計9台が配備されたことになる。
韓国政府は、朝鮮人民軍創設記念日にあたる25日に発射される可能性もあるとし、警戒を強めている。
【北朝鮮の狙い】
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は20日、アメリカとの間で「軍縮のための協議はあっても、非核化に関する協議はない」という記事を掲載していた。これらの北朝鮮による核の挑発は、アメリカと韓国を不安に陥れて、支援や安全保証の面で有利に交渉を進めるためだとみられている。
労働新聞の記事についてウォール・ストリート・ジャーナル紙は、北朝鮮が協議に入るための条件を示唆したものだという見方を示した。
一方フィナンシャル・タイムズ紙は、金正恩第1書記が核抑止力を構築する可能性を懸念している。ただ、挑発発言は、米韓軍事演習が終了する4月30日が過ぎれば冷却するだろうとも同紙はみている。
【アメリカの姿勢】
アメリカは、北朝鮮が核開発計画を中断するという以前の合意事項の順守を求める姿勢だ。ただ、金正恩氏は、憲法で核兵器を法制化したため、これは非現実的だろうとフィナンシャル・タイムズ紙は報じた。
同紙はまた、「彼(故金正日氏)はこれらの状況から抜け出す方法を知っていたように思う」と、前政権を「懐かしむ感情」が米政府内にあるという専門家の見解を報じた。
しかし、オバマ米大統領も指摘しているように、北朝鮮が既に核弾頭をミサイルに搭載しているという考えは推測に過ぎない。さらなる制裁を避けて経済支援を得るため、金正恩氏がしばらく姿勢を和らげる可能性もあると同紙は報じた。
【韓国の姿勢】
20日の労働新聞には、「韓国当局は北朝鮮の軍事行動ははったりでも脅しでもなく、実際的なものだと肝に銘じておいた方がいい」という記事も掲載されていた。
こうした警告が続くと、操業停止状態にある開城工業団地などの南北間問題で、北朝鮮を対話に引き入れようとする韓国の朴槿恵大統領の努力も難しくなるとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じた。
一方韓国当局は、30歳という若き指導者の経験不足が招く、新しいリスクを懸念しているものの、信頼構築の政策をやめる様子はないとフィナンシャル・タイムズ紙は報じた。