中国四川省で大地震 政府の迅速対応にも不満の声はなぜあがる?

中国四川省で大地震 政府の迅速対応にも不満の声はなぜあがる? 20日午前8時すぎ(日本時間同9時すぎ)、中国四川省雅安市蘆山県をマグニチュード7の大地震が襲った。
 地震活動が活発な四川省では、2008年、マグニチュード8の大地震が起きており、6万人以上の死者を出している。特に古い小学校の校舎などが倒壊し、多数の児童が犠牲になったことは問題視された。
 そのため今回も、「またか?」との危機感が走ったものの、結果的には、200人近くの死者と、1万2000人にも及ぼうかという負傷者を出したとはいえ、2008年と比べると一見、深刻さは低いかに思われる。
 当局も、「迅速」かつ「秩序的」な対策を講じた模様だ。政権交代後初の大型自然災害の到来であり、5年前に大きな非難を招いた「後手後手の対応」を繰り返すまいとの決意を感じさせる。李克強首相の被災地訪問の速度にもその決意が現れていたと海外紙は報じている。

 ただし、当の被災者にはその「迅速」な対応策の効果はあまり感じられていないようだ。海外各紙は被災者の生の声を伝え、被災の実態に迫った。

【活発なボランティア活動】
 フィナンシャル・タイムズ紙は、悲惨な現場に射す一条の希望の光として、活発な民間レベルのボランティア活動を紹介した。
 2008年当時には金銭的な寄付のみだったが今回は物資も、と語る人や、自分自身も地震の影響を受ける地域に住んでいながら、より被災の度が激しかった地域に、思い思いの物資を手に駆けつける人々の姿を紹介。なかには、組織的に救援活動に当たる団体もあるという。
 ただし当局は、渋滞の原因になるとして、こうした個人レベルの活動を認めていないという。当局の管轄するボランティア活動に応募した人物は、応募者が長蛇の列を作っていたと語っている模様だ。

【被災者の生の声と、食い違い】
 確かに、公用車で駆けつけた政府の対策チームの働きは目ざましく、たちまち携帯電話の復旧を成し遂げたとも伝えられる。
 一方で、フィナンシャル・タイムズ紙は、医師はいても電気と水がなく、テントを山積みにしたトラックが細い山道で立ち往生したために、被災者は路上で夜を明かし、水も食べ物もないまま困窮しているなどの事態を紹介。ニューヨーク・タイムズ紙も、援助の「場所」「もの」「方法」が食い違っているとの住民の声を伝えている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙も、掘削機が300メートルの崖を転落したとの新華社通信の二次被害の報を伝えている。

 なお、一部の地域住民は、今回の地震を「2008年以上の揺れ」と評しており、かろうじて倒壊を免れた家屋も、ひびが入り、柱がゆがみ、「恐ろしくて中に入れない」「とても住めない」などの声が上がっているという。
 
 総じて、せっかくの「迅速」な対応も空回りの感が否めず、被災者へのよりきめ細やかで真に「ためになる」支援が求められていることを強く示唆する報道となった。

Text by NewSphere 編集部