ポルトガル、財政再建なるか?

 トロイカ(EU、ECB、IMF)の代表団は15日、ポルトガル入りした。780億ユーロ(約9.9兆円)の救済の条件として合意した、財政健全化策について調査・評価するためだ。
 ポルトガルでは5日、憲法裁判所が、公務員の給与削減や年金減額などの歳出削減策に対して、違憲判決を下しており、政府は計画変更を余儀なくされていた。
 これを受けて、12~13日にかけて行われたEUの財務相会合では、ポルトガル支援金(53億ユーロ分)の返済期限を、最大7年延長することで合意していた。
 海外各紙は、ポルトガルの状況と対策について報じている。

【国内外の反応】
 ポルトガルは、財政赤字のGDP比を、2013年に5.5%にする目標を掲げている。2012年は6.4%で、2015年までに3%以下にする計画だ。公的債務はGDPの123%にのぼる。
 ポルトガルの10年債利回りは一時5.8%まで低下していたが、6.4%まで上昇(価格は下落)した。

 コエリョ首相は、財政健全化目標を断固守る姿勢であり、今のところ、追加の支援を要請する可能性も否定している。
 一方、ソアレス元大領領は、「政府がどれだけ国民を貧しくし、年金を削減しても、現状負っている債務は決して返済できないだろう」と述べ、「唯一の解決策は、返済できないときは、返済しないことだ」と述べている。

 欧州委員会のレーン氏(経済・通貨担当)は、ポルトガル政府に、痛みを伴う緊縮策を含めた総合的見直しが必要と強調しており、同国は引き続き厳しい立場に立たされているといえる。

【対策】
 コエリョ首相は、行政予算を削減することで、違憲判決がくだされた13億ユーロの歳出削減のうち、半分を補えると述べた。もう半分は失業手当と疾病手当から補う検討をしているという。

 フィナンシャル・タイムズ紙は、同政府は現状の最低支払額を維持する予定だが、そのレベルを上回る歳出削減をする見通しだと報じている。

Text by NewSphere 編集部