ポルトガルの緊縮財政、裁判所が「違憲」 ユーロ圏の新たな難題か?
ポルトガルのコエリョ首相は7日、2013年度の予算緊縮策の一部への違憲判決に対し、EUとIMFと合意した目標のため、歳出削減を実行すると表明した。違憲判決により、当初予定されていた歳出減と増税による53億ユーロ規模の緊縮策の一部が変更を余儀なくされ、不足する13億ユーロ分は、教育・社会保障制度などへの歳出減にてまかなうことも表明した。
海外紙はポルトガルの緊縮策の詳細や今後について報じている。
憲法裁判所によって違憲と判断されたのは、公務員への賃金、失業手当及び傷病手当減額などの四項目である。7日に違憲判決が下された後、コエリョ首相はテレビ演説で、財政緊縮策却下は深刻な影響をもたらすと懸念を表明していた。同首相は、「2度目の緊急援助を回避することが重要」と述べ、歳出削減を断行する考えを述べたが、さらなる増税の可能性は否定した。
ポルトガルの緊縮策は、780億ユーロ(約9.9兆円)の国際支援を受ける条件となっている。違憲判決によりポルトガルは、緊縮策実行を監視している欧州委員会、国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)に説明をしなくてはならない状況に陥っていた。そのため今回、政府は、目標達成のため緊縮策に取り組んでいると改めて明言した。
一方、野党からはコエリョ首相に辞任を求める声が挙がっている。フィナンシャル・タイムズ紙は、「現政権は長くはつづかないだろう」とあるEU外交官が述べたと報じている。野党社会党のセグロ書記長(前首相)は、「政府に対する信頼性はなく、終焉にむかっている」と語っていることも同紙は報じている。
イタリアの政局不安やキプロス銀行問題で揺れるユーロ圏において、ポルトガルの財政問題は新たな難題だと各紙は懸念しているようだ。