シリア反体制派リーダー、辞任の真相とは?
シリア反体制派の統一組織「シリア国民連合」のハティブ議長は24日、「フェイスブック」上の自身のページで、「公的組織を離れて自由に活動したい」として辞意を表明した。「私はシリア国民と神に、事態がレッドラインを越えれば辞任すると約束した」などと述べたが、直接的な理由は説明していない。一方シリア国民連合の広報は、「ハティブ氏は現職にとどまる」と語った。
海外各紙は、ハティブ氏の具体的な辞任理由が不明だと指摘し、シリア反体制派の不透明な先行きを案じた。
【辞任の真意は?】
ハティブ氏の辞任発表は、反体制派の連合組織内で分裂が深まったためだとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じた。連合組織は先週、米国在住のガッサン・ヒット氏を暫定首相に選出したが、ハティブ氏はこれに反対していたという。また、アサド政権側に条件付きながら対話を提案したことで、連合組織内の一部勢力から非難を受けていたとも報じられている。
他には、西側諸国が、テロリストに渡るのを恐れてシリア反体制派への武器調達に踏み切らないことへの不満が主な要因だろうと、ニューヨーク・タイムズ紙は報じた。EUは先週、英国とフランスの要望により、6月1日に期限切れとなる対シリア武器禁輸措置の撤廃について検討したが、ドイツを含む多くのメンバーは反対していた。
【米国の反応は?】
ケリー米国務長官は、ハティブ氏の辞任について遺憾の意を示した。ただ、「そのような変化は連合が発展するとき、ほぼ避けられない」と述べ、米国の支援に影響しないと表明した。この見解に対し、「今回の辞任は連合の終結の始まりを意味する」という米シンクタンク所長のコメントをフィナンシャル・タイムズ紙は掲載した。
【新たな動き】
一方、アサド大統領が属するイスラム教少数派であるアラウィー派の活動家グループが24日、カイロで集会を開いた。アラウィー派がシリア政府に反対する集会を開くのは初めてだという。1つの理由は、シリア人口のおよそ13%を占めるアラウィー派がアサド大統領と足並みをそろえているという広く知られた概念を払拭するためだとニューヨーク・タイムズ紙は報じた。