英仏、シリア内戦終結に向けた「一手」とは?
フランスのオランド大統領は14日、イギリスとともに、シリアの反体制派への武器供与を支持すると表明した。EU各国に、シリアに対する武器禁輸措置の解除を求めたうえで、賛同が得られなければ英仏で武器を供与する道を探る方針であるとコメントした。
【主張の理由】
オランド大統領の主張の背景について、フィナンシャル・タイムズ紙は考察している。現在EUは、シリアのアサド政権の早期退陣を求めるとともに、武器禁輸措置を講じている。フランスのファビウス外相によれば、アサド政権にはイランやロシアから武器の支援がある一方で、反体制派は支援が受けられていない状況だという。英仏両国はこれを批判し、2年も続くシリア内戦の政治的解決のためにも、反体制派への武器供与の道を開くべきと考えを示しているという。イギリス政府関係者からは、「今の状況は残忍な戦争を行っているアサド政権をEUが援助しているようなものである。」というコメントもあり、EUの武器禁輸措置が内戦の長期化につながっているのでは、という見方もあることを同紙は報じている。
なおオランド大統領は、地対空ミサイルの供与を検討していると報じられている。
【他国の反応】
英仏の主張に対し、EU内では、反体制派への武器供与は内戦激化を招くとの慎重論が根強い。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、ドイツのメルケル首相が「非常に複雑な問題であり、非常に慎重に検討する必要がある」と発言したことを取りあげた。
【崩壊寸前のシリア】
ニューヨーク・タイムズ紙はシリアの厳しい現状を報じている。国連の推計によれば、これまでに死者は7万人、国外に出た難民は100万人を超え、200万人の国民が避難生活を送っているという。
この状況を打開するため、反体制派の中心組織「シリア国民連合」のハティーブ議長は、アサド政権側に対し、退陣を含む政治的解決に向けた話し合いを呼びかけているが、政権側はこれを拒否。解決の糸口が見つからないシリア情勢の深刻さを、同紙は浮き彫りにしている。