オバマ大統領、共和党議員との対話姿勢は吉と出るか凶と出るか?

 オバマ大統領は6日夜、12人の共和党上院グループと夕食を共にする。匿名の情報筋によれば、来週にも議会に足を運び、共和党上院議員と懇談するほか、民主党下院議員との会談も予定しているという。

 実務的で淡々とした執務姿勢で知られる大統領は、就任以来、根回しや人脈作りには意欲的ではなかったとされる。ニューヨーク・タイムズ紙の評によれば、敵を懐柔することもなく、味方をねぎらうでもなく、議会と距離を置いてきたその姿勢は、時に「冷淡」とすら見られ、共和党のみならず、民主党議員からも不評を被ってきたという。

 そんな大統領が一転、ベイナー氏やマコーネル氏などの共和党「上層部」を飛び越して、一般議員に直接の働きかけを試みるのはなぜか。それは、かねてより取り組んできた両党の協議が決裂し、850億ドルの連邦予算削減の強制措置が発効したことによる、「危機感」だとされる。下院議長の座や、再選を左右する保守地盤など、それぞれに「引くに引けない」事情をかかえた上層部には見切りをつけ、発言内容から「良識ある」柔軟姿勢が伺える上院議員に、直接、個別に働きかけることにしたというのだ。

 大統領が必死に対策に走る「強制削減」について、既に影響が出ていると報じたのはフィナンシャル・タイムズ紙だ。同紙は、予算削減によって職を失った65歳のコンピューター・プログラマーの姿を通じて、失業率が7.9%にも達する景気低迷下、緊縮財政が生む「負の連鎖」を鮮やかに浮き彫りにした。
 いわく、最初に「切られる」年配者は再就職も困難であり、「納税者」から、社会保障費の「受給者」になり、国庫への負担を否応なく増していく・・・。専門家は、この1年で、政府系職員のみならず、民間でも関連する66万件の職が失われると推定しているという。

 では、大統領の「対話姿勢」は負のシナリオを覆せるのか。これについては賛否両論の模様だ。一部の共和党議員は「支持率が下がった途端の対話姿勢」に懐疑的であるなど、両者の溝は深く、単純な打開は難しいという分析もある。一方、「失敗」の烙印を捺されかねない危険を犯して「対話」に踏み切った大統領への共感の声も上がっているようだ。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、オバマ大統領が企業のCEOを招いて個別の対話に時間を割いた昨年末の例を挙げ、そうした取り組みのほうがはるかに効果的だとする向きもある。事情通によれば、すでに、今後4年間の任期を乗り切るために、できるだけ多くの「味方」が必要だと悟ったホワイトハウスは、党派を超えた議員対話のほか、60人のCEOが集う会議に、ミシェル夫人率いるホワイトハウスの高官一行を送り込む計画なども立てているという。

 オバマ大統領が繰り出す「絡め手」は、果たして、両党の膠着とたちこめる閉塞感に風穴を開けられるのか。今後の動向が注目される。

Text by NewSphere 編集部