返事ぐらいはもらえるのか?イラン核協議

 26日、米・英・独・仏・露・中(=国連安保常任理事国+独)6ヶ国とイランの核協議がカザフスタンで開幕した。イランはEU・中国・ロシアとは定期的に核協議を行っているが、米英との協議は3年ほど途絶えており、久しぶりの機会だ。しかしイラン核協議は長年遅々として進んでおらず、イランの「牛歩戦術」が疑われてさえいる。各紙とも、今回もそう大きな進展があるとは期待していない模様だ。

 6ヶ国側が目指すものは、イランの核開発が平和目的限定のものだという保証であり、(1)高濃縮ウランの濃縮を20%の濃度までとすること(2)現在の高濃縮ウランの備蓄の20%を国外に放出すること(3)テヘラン南方フォルドーの第2ウラン濃縮工場を閉鎖すること、を要求している。この日の2時間半の交渉で6ヶ国は、その見返りとして、国際的銀行業務、石油貿易、金など貴金属の貿易再開を許すなどの、イランへの制裁緩和を提案した。イラン側にメリットを提供する提案は過去のモスクワ会談などでも出ているが、既存の制裁の緩和が交渉にのぼるのは初めてだという。イランへの経済制裁は、すでに現地通貨暴落などの効果を上げている。それでもなお、米ドルでの石油貿易決済が禁止されても他の通貨で取引が可能といった抜け穴があるとして、フィナンシャル・タイムズ紙は米上院の超党派グループが前日、EUに規制強化を求めたことを報じている。

 イランは提案に興味を示した様子ではあるようだが、返答は翌朝を待つこととなった。しかしニューヨーク・タイムズ紙は、「イラン人が明日戻ってくるかどうか」さえ怪しい、との西側関係者の発言や、これ以上時間をムダにするより「バーゲン」段階に移行してしまうべきだ、とのロシア公使リャブコフ外務次官の意見を伝えている。同紙は、6月にイラン大統領選が控えているため、イラン側が大きな譲歩姿勢を見せるとは今回特に考えにくいと指摘する。ウォール・ストリート・ジャーナル紙も、「米・イラン対立は、直接交渉で解決できる単純な誤解ではないのです。それは世界がどのようにあるべきかについて、意見の根本的な違いなのです。」との専門家の見方を紹介した。

Text by NewSphere 編集部