ケリー米国務長官初外遊、シリア内戦に有効な一手を打てるか?
ケリー米国務長官は、2月24日~3月6日の日程で、欧州・中東の計9カ国を訪問している。今月初めの長官就任後、初の外遊となる。
ケリー長官は25日、最初の訪問地である英国を訪問し、ヘイグ外相と会談した。27日にはドイツで、アサド政権の後ろ盾となっているロシアのラブロフ外相と会談予定。28日にはイタリア・ローマで、シリア反体制派を支援する国際会議に出席する予定だ。
海外各紙は今回の外遊はシリア問題が焦点だと報じ、28日に予定されているローマの会議の動向に注目した。
【シリア反体制派との会議の行方は】
28日のローマでの会議は、シリア反体制派の有力組織・シリア国民評議会(SNC)のモアズ・ハティブ代表も出席する予定だ。しかしSNCは先週、米国と欧州連合(EU)がアサド政権を倒すのに必要な武器の供給を拒否しているとして、ローマの会議をボイコットすると発表した。確かにアメリカは、公式にはコンピューターやラジオなどを提供しているのみにとどまっている。EUもシリアへの武器禁輸措置を行なっているが、暗視ゴーグルなど非殺傷兵器の提供などで支援を行う意向だと報じられている。
ボイコット発言を受け、米国当局は24日、ロバート・フォード駐シリア米大使をカイロに派遣し、反体制派に出席するよう強く求めたという。その後25日に、ハティブ代表はフェイスブックに「ローマの会議に出席する」と書き込んだが、公式の発表はまだないという。
ローマの会議の行方は不透明だが、アサド政権の軟化を示すニュースも報じられている。シリアのムアレム外相は25日、訪問先のロシア・モスクワで、「たとえ武装していても、反体制派の武装勢力と対話する用意がある」と述べたという。ただ、シリア政府は以前「対話の前に反体制派は武器を下ろすべき」と主張していたため、ムアレム外相が今回どんな条件を出したかは不明だとフィナンシャル・タイムズ紙は報じた。
【その他の重要課題】
ケリー長官の抱えるもう一つの重要課題が、イランの核開発疑惑への対応だ。ケリー長官は26日、カザフスタン・アルマトイでイラン核開発をめぐる国際協議に出席する。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、そこで欧米の経済援助と引き換えに、兵器級の燃料製造を凍結するようイランに求めるのではと予想している。
そのほか、ケリー長官は今回の外遊で、北アフリカ周辺のテロ対策などの問題も各国と協議したい考えだという。