韓国、朴新大統領の就任演説 海外紙が指摘する課題とは?
25日、韓国の朴槿恵(パク・クネ)氏が同国初の女性大統領として就任式に臨んだ。就任演説では、韓国が抱える経済問題への取り組みについてその決意を述べるとともに、核開発を強行する北朝鮮に対しては「一日も早く核放棄を」とメッセージを出した。
海外各紙は、新大統領の就任演説について詳報している。
【就任前から批判】
フィナンシャル・タイムズ紙は、朴大統領は経済問題に関し、成長重視だった李明博(イ・ミョンバク)前大統領とは異なる方針をもっていると報じた。朴氏は就任演説で、一部の大企業が優遇され、所得格差を始めとする経済的不平等が生じているという問題を解消すると述べたことを受けている。ただし同紙は、就任前にも関わらず国民の32%が朴氏の手腕を疑問視しているという世論調査を報じるとともに、経済問題を解決することはできないであろうという観測に、同氏が選挙時から悩まされてきたと論じている。
さらに同紙は、朴氏の公約であったがん治療などの無料化、および65歳以上の国民全員への一律20万ウォンの支給などが、予算を低く見積もり過ぎているという批判の中、後退した経緯を取り上げた。「増税なしにこのような公約を実現できる」という朴氏の主張を疑問視する声があると報じている。
ニューヨーク・タイムズ紙は、朴氏当選の原動力が、父親の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が築いたとされる経済的な奇跡を知る、50代以降の有権者であると論じている。同紙によると、対照的に、韓国の若者・リベラル層は、歯に衣着せぬ批判を朴氏に浴びせているという。同族経営によるコングロマリットの常軌を逸した影響力といった韓国が抱える大問題などは、朴正煕大統領時代に種が蒔かれたというのだ。また、自身の役割をエリザベス1世になぞらえた朴氏を嘲笑する声がブログにあふれているという。
【北朝鮮の動き】
就任演説で朴新大統領は、核開発の最大の犠牲者は北朝鮮自身であると述べ、核放棄を求める姿勢を改めて示した。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、北朝鮮国営放送は新大統領の就任については報道していないという。経済支援を打ち切った李明博前大統領を頻繁に批判してきたのとは対照的だと論じている。同紙は、新大統領によって援助が再開されるかどうか、北朝鮮が注視しているのではないかと見ている。
またニューヨーク・タイムズ紙は、朴新大統領が北朝鮮に対して最初に取る行動が大きな意味をもつと報じている。指導者が代わったばかりの関係各国が、今後どのような方向性をもって北朝鮮に対処するのかに影響するからだという。同紙は、朴氏は選挙時から、対北朝鮮政策として強い防衛力を唱える一方で、対話路線も主張していたと紹介している。