緊縮財政で欧州不況 ECB「次の一手」は?
14日、EU統計局ユーロスタットの発表によると、ヨーロッパの不況はさらに悪化し、「三段底」の様相を呈している。南部諸国の不況はドイツやフランスなど北部にも波及しており、出口の見えない状況だ。
2012年第4四半期、ユーロ圏全体のGDPは前期比0.6%(年率換算2.3%)減で、ロイターがまとめたアナリスト予想(前期比0.4%減)以上に悪かった。イタリアは0.9%減、ポルトガルは1.8%減、さらにヨーロッパ経済の主力であるドイツも0.6%減、フランス0.3%減、その他オランダやオーストリアまで含め、軒並み経済縮小状態である。ギリシャは前年比6%減で、失業率は労働人口の27%に上昇した。
格付け会社スタンダード・アンド・プアーズは、スペイン、フランス、イタリア、ポルトガルは2013年に格下げの可能性があると警告した。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、ドイツは強力なアジア向け輸出需要に救われて今四半期に成長へ復帰するとみられるが、それでもフランスの成長復帰と結びつかない限り、独力でユーロ圏全体を不況から救出するには不足だという。
なおユーロスタットの発表は速報値であり、原因の詳細を含むものではない。ただ各紙は、各国一斉に緊縮財政策をとっていることでの需要減が原因という見方で一致している。仕事を持つ人でさえ「次の6ヶ月で何が起こるかわからない」ため、消費者は出費を控え、政府も欧州中央銀行(ECB)や欧州委員会の緊縮路線に従って財政赤字を削り、企業は借金返済に追われ、需要の発生源が見当たらないと指摘される。このような状況は、投資家の不信を招き、欧州全体の政治的不安定につながりかねないと危惧されている。
対策として利下げやユーロ切り下げの話も出ているようだが、ECBはこれといった動きを見せていない。フィナンシャル・タイムズ紙によると、いまだ「ユーロは長期的な平均レート内に留まっているし、ECBの任務は為替レートではなくインフレ率目標」であるという姿勢だという。
すでに預金金利はほぼゼロの状態であるため、コンスタンシオECB副総裁は14日、必要ならマイナス金利を採用できるよう技術的準備をしていると述べた。しかし、同氏はまた、デンマークでのマイナス金利導入事例に言及し、銀行貸出を増やすどころか、むしろ各銀行が損失補填のために借り手への負担転嫁を増やす結果に終わったとも指摘している。