日本のGDPはマイナス成長 アベノミクスの効果はいつあらわれる?
内閣府は14日、2012年10月-12月期の国内総生産(GDP)が、年率換算で前期比0.4%減となったと発表した。多くの専門家の予想を下回り、3四半期連続のマイナス成長となったことになる。さらに、7-9月期についても、前期比マイナス3.5%から3.8%に下方修正された。
急速な円安と株価の上昇が続き、「アベノミクス」による日本経済浮揚への期待感に水をさした今回の数字。これが何を意味し、日本の将来をどう形成するのかを海外各紙が占った。
甘利経済再生相は今回の数字について、「当面は弱さが残る」ものの、金融緩和策効果に加え、世界経済の緩やかな回復と、景気回復への期待感の上昇から、日本経済は緩やかながら確実に上向いていくという見方を示した。
一方ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、日本の最大の成長牽引役である輸出と企業の総事業費が、依然として弱さを露呈したと分析。アメリカは財政の崖、欧州は累積債務危機、中国は世界金融危機後の過剰刺激や日本製品ボイコットの余波と、それぞれに懸念材料を抱えていた。こうした海外経済の冷え込みが改善されるまでは、政府の刺激策に頼るしかないとした。
これに対し、エコノミストや識者の見解は分かれている。物価の下降などデフレ傾向は続いており、日本経済の浮揚には長い時間がかかるとする見方と、「過去」よりも、現政権の金融策が形となって表れる今後の数字に着目すべきとし、全体に上向いている、とする見方があるという。
モスクワで15-16日に開催されるG20財務相・中央銀行総裁会議で、日本政府の金融緩和策は大きく注目を集める見通しだ。フィナンシャル・タイムズ紙はこれについて、昨年11月以来急速に進んだ円安傾向に対し、通貨切り下げ競争を招くという各国の非難が予想されるという。これに対し日本は、政策について詳細に記した文書を用意するなど準備に余念がなく、金融緩和はあくまで国内のデフレ脱却のためで、円安誘導を狙ったものではないことへの各国の理解を求めていく考えだとされる。
これについて、先日のG7声明が金融緩和策の溢出効果に対する日本の基本スタンスを是認したとみられていることに加え、ルー次期財務長官への上院の公聴会で、人民元についての厳しい追及があったのに対し日本円については言及がなかったことなど、アメリカも静観の模様とみられている。ただし一部には、今回発表されたGDPの「悪さ」が、G20での追及を軟化させる好材料になるとの穿った見解もあるという。
またフィナンシャル・タイムズ紙は、日本経済の今後の動向には期待が持てるという識者の意見を引用しつつ、来年消費税増税が実現すれば景気が冷え込むとの可能性を示唆した。さらに、「脱デフレ」の効果が表れるためには、消費を後押しする「賃金アップ」が不可欠だとし、それができない場合には、現在安倍政権を支持している世論からの逆風が吹く可能性が強いと示唆した。実際安倍首相も、経済団体に対し賃金アップを要請した。