いまだ同床異夢の英仏、EU予算協議にのりしろは無いのか?
2014-20年の7年予算合意に向けたEUサミットが、7日~8日に開催される。昨年11月には、支出削減を求めるイギリスなどと、補助金を守りたいフランスなどが対立し、交渉は決裂したが、ガーディアン紙(英)は、イギリスが今回さらに厳しい削減要求を強硬に押し立てる見込みと伝えている。
イギリスの首相スポークスマンは、支出の凍結ないし削減が認められなければ予算案に合意することはありえないと強く表明。スウェーデン、オランダ、デンマーク、ドイツなどが同調しているとも述べた。これらは財政に余裕のある、EU予算への純貢献国である。イギリス陣営はEU職員数や、予算の40%を占める農業補助金の大幅削減を要求しているが、フランスなど補助金の恩恵を受けている国は削減に断固反対している。オランド仏大統領は5日、欧州議会において「利益が問題になることは、私の欧州観においてはございません」などと演説。名指しはしなかったが、「自由貿易関係は継続したいが金融や司法などの規制ルールは邪魔である」というイギリスのビジョンを暗に批判した形だ。このようなイギリスの「選り好み」姿勢は、ドイツのメルケル首相からさえ、単一市場の解体につながると警告されている。
EU予算は加盟27ヶ国の全会一致が原則であるため、イギリスが反対し続ければ成立せず、昨年11月には一時イギリス抜きでの協議の話さえ出た。ニューヨーク・タイムズ紙は、9月にはドイツで、予算を承認する欧州議会も2014年に、それぞれ選挙があるため、今回を逃せば2015年までに予算を間に合わせられないかも知れず、これまですでに2年かけた協議が水泡に帰すことは「EUの恥」だと危惧している。
一方フィナンシャル・タイムズ紙は、キャメロン英首相にとって真に重要なのはEU加盟をめぐる2017年の国民投票であって、それまで事を荒立てるのは内外両面とも得策ではなく、また予算案がどのような形にまとまろうとも、キャメロン首相が勝利を主張するに足ると指摘した。さらに、フランスのマリにおける軍事作戦にイギリスが真っ先に賛成したことが、フランスの信頼を得られる余地であるという。