北朝鮮、「アメリカ炎上」プロパガンダ映像のねらいとは?
北朝鮮対外宣伝機構は2日、アメリカの崩壊を描いたプロパガンダ動画をYouTubeに投稿した。北朝鮮の若い男性が宇宙飛行の夢を見ている場面から始まるその動画は、途中からアメリカ国旗はためく街が火の海と化し、ビルや建物が崩壊するシーンになる。
ただし、現在その動画はYouTubeから削除されている。そのシーンがアメリカの人気ゲーム「コールオブデューティー」から無断で切り出した場面であり、著作権者であるゲーム会社からの訴えを受けての措置だ(ただし、コピーはネット上に溢れている)。またバックミュージックとして、マイケル・ジャクソンらが手がけた「We Are the World」を用いているが、こちらも無断利用の可能性が指摘されている。
海外各紙は、北朝鮮の意図を分析している。
まず、北朝鮮のアメリカに対する批判表現というねらいが指摘されている。北朝鮮が昨年12月12日の衛星打ち上げを強硬したことで、アメリかなどから制裁が強められた背景がある。
ニューヨーク・タイムズ紙によれば、アメリカの崩壊を描くシーンでは、(男性の夢の中での言葉として)アメリカを「悪魔の巣窟」と表現し、自らがまいた戦争の種によって滅んでいると言った内容が書かれていたという。また、北朝鮮を孤立・崩壊させようとしても、最終的な勝利に突き進む人々を止めることはできない、と書いているシーンもあったという。さらに、朝鮮半島の(北朝鮮による)再統合という内容も含まれている。
もう一つのねらいは、北朝鮮の技術発展を国民に示すことだという。ニューヨーク・タイムズ紙によれば、先月の衛星打ち上げは、国営放送で大々的に報じられたという。他国の圧力に負けず、大きな成功を収めたことを、国民にアピールするためだとみられる。プロパガンダ動画は「銀河9号に乗って」と名付けられており、登場するロケット「光明星21号」は、12月に発射された「光明星3号」にちなんで名付けられているようだ。さらなる進化を目指す意志を示す名前ではないかとニューヨーク・タイムズは報じている。
なおワイアード(英)は、この動画を“奇妙でパッとしない”と酷評した。