ミャンマーの民主化進展を阻む問題とは?

ミャンマーの民主化進展を阻む問題とは? 民主化を進めているミャンマーで1日、少数民族武装勢力「カチン独立機構(KIO)」が政府と和平交渉を行う意思を声明で明らかにした。カチン独立機構は政府と停戦合意していない最後の反政府勢力で、政府は先月一方的に停戦を宣言したが、紛争は続いていた。
 また、昨年11月末に銅山の拡張プロジェクトに抗議した地元住民や仏教僧の群衆に対し、警察が白リン弾を使っていたことが、先月、弁護士グループによって明らかになった。白リンは煙幕や焼夷弾として戦争で多く使われるが、これまで警察が使ったことはほとんどないという。
 ミャンマーは数十年にわたる軍事独裁の後、2011年にテイン・セイン大統領が就任し、民主化路線を進めているところだ。
 海外各紙は、民主化に向けた動きはあるものの、依然として軍事政府の名残が随所にみられると懸念している。

 今回のカチン独立機構の和平交渉合意の声明に対し、政府は2日、「政府軍は、攻撃されない限り攻撃しない」という見解をウォール・ストリート・ジャーナル紙に述べたという。しかし同紙は、和平交渉の場は公表されておらず、独立した監視団がいるかは不明であることを指摘した。ミャンマーに対しては国際的な圧力が高まっており、昨年12月にミャンマー軍の爆弾が中国領土内に着弾した後、特に中国からの圧力が高まっているという。

 また、警察が白リン弾を使った可能性があることについて、テイン・セイン大統領の文民政府が軍事政府と同じ抑制方法を使ったという恐怖心が高まったと、ニューヨーク・タイムズ紙は報じた。アウンサンスーチー氏の委員会が昨年末までに政府見解を発表することになっていたが、まだ何の報告書も出されていないという。同紙は、「軍指揮系統のだれがこれらの武器を使うよう命令したかという重要な問題が持ち上がる」というアメリカの人権弁護士のコメントを掲載した。

 一方、フィナンシャル・タイムズ紙は、先週ミャンマーで初めて文学フェスティバルが行われたことを報じ、ミャンマーが民主化へ向かっている確かな徴候との見方を示した。交流会には130人のビルマ人のライター、十数人の国際的な著者が集まり、パネルディスカッションが行われたという。しかし同紙は、事前検閲制度は昨年廃止されたものの、政府はまだ軍に支配されており、表現の自由は完全に確立していないことを示唆した。

Text by NewSphere 編集部