米国は不況へ向かうのか?GDPマイナス成長の影響とは
アメリカの去年10月から12月のGDP(国内総生産)は、年率換算で前の3ヶ月に比べ0.1%減少し、3年半ぶりにマイナス成長となった。
FRB(米連邦準備制度理事会)は30日、米経済を回復させるため、現行のゼロ金利政策と量的緩和策を維持することを発表した。また、経済成長については「天候やほかの一時的要因でここ数カ月足踏みしている」との見解を示した。
海外各紙は、マイナス成長の主な要因と今後の景気展望についてそれぞれ分析した。
【マイナス成長の要因】
GDP減少の主な原因として、国防費などの政府支出が22.2%と大幅に削減されたこと、ヨーロッパ経済の落ち込みなどで輸出が大幅に減ったことなどが考えられるという。企業在庫の伸び鈍化も要因の1つだと海外各紙はみている。また、今月初旬に決まった給与税減税の失効も今期の経済成長を妨げるだろうと、ニューヨーク・タイムズ紙は指摘した。
【楽観的な見方も】
しかし今回の報告がすぐ米国不況につながるわけではないとする見方もある。予備データによると、個人消費は2.2%増、住宅投資は15.3%増、民間企業の設備投資は12.4%増と好調だったという。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「米国は約2%のペースで拡大するだろう」というキャピタル•エコノミクスの予測家のコメントを掲載した。しかし、これらの増加は歳出削減、輸出減少などのマイナス成長の主要因に打ち勝つほどではないと同紙は指摘した。
【今後の議会の動き】
国防費がマイナス成長の主要因の1つであることから、ホワイトハウスと議会共和党の間で予算対立が勃発するだろうとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じた。一方、ニューヨーク・タイムズ紙は、予算削減より雇用創出の議論が強まるとみている。
12月の失業率が7.8%と高止まりしている中、2月1日に1月の米雇用統計が発表される。フィナンシャル・タイムズ紙は、この発表で雇用市場に成長の兆しがあらわれるとみており、12月の雇用者数が19万2000人増加したとする給与計算サービスのADPのデータを掲載した。