韓国の李明博大統領が55人を恩赦。犯罪者を無罪にできる大統領の権利の是非は?
韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は29日、55人の特別赦免や減刑、復権を決めた。31日に実施する。対象者は、不正事件で有罪が確定した側近らを含む政治家、経済人だ。
海外各紙は、各方面からの批判や、韓国では当たり前になっている特別赦免の是非に関する意見を報じた。
李大統領の任期は2月25日までのため、今回の「駆け込み特赦」に対して、責任逃れと批判があがっている。これに対して、朴槿惠(パク・クンへ)次期大統領も、「権利の濫用だ」と批判するが、李大統領は「法に基づいて行われたこと」と一蹴。さらに、前任者の赦免数よりかなり少ないとも述べているという。
同じ与党に属する朴氏が批判の声をあげるのは、汚職などに対して厳しい姿勢で対応する姿勢をアピールするためとみられる。しかし対立政党からは、「国民からの批判を避けるために赦免に反対しているだけ」という厳しい意見もあると報じられている。実際、今回の赦免者の中には彼女の側近も含まれていたという。
今回の特赦をめぐり、長きにわたって物議を醸していた大統領の赦免権についての議論に再び火がともったと各紙は報じた。歴代政権でも、大統領が赦免対象に側近を含めることがあり、国民の批判の声は強いという。こうした声を受け、選挙になると多くの大統領候補が赦免反対を掲げるものの、ひとたび大統領になると特別赦免を行使するということが続いていると指摘されている。赦免反対を掲げる朴氏に関しても、今後どうなるかは明らかではない。