クリントン長官、退任直前に何を語ったのか
クリントン国務長官は23日、上院外交委員会の公聴会で、昨年9月のリビア・ベンガジ米領事館襲撃事件に関して証言した。長官は、国民への情報提供が誤っていたのではないかとする共和党の批判に対して強く反論した。領事館での不備については「責任は自分がとる」と述べており、事件後、警備体制を強化するため迅速に動いたと強調した。
また、リビアの内戦で流出した武器がアルジェリアやマリの過激派に渡っていることは「間違いない」。マリ情勢については、「マリ北部が(イスラム過激派の)安全な隠れ家になることを許容することはできない」と述べた。
海外各紙は、ベンガジ米領事館襲撃事件のほか、北アフリカ情勢についての長官のコメントに注目した。
【共和党の批判】
多くの民主党議員は国務長官としての元ファーストレディーの功績をたたえたが、多くの共和党議員は彼女の対応に満足していないとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じた。共和党の批判は、国務省が警護強化を拒否した経緯を長官が正確に説明していないこと、当初、反イスラム映画への抗議運動から派生した事件とした政府の情報の正否などだ。
その他、ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、事件時に国務省側はCIA(中央情報局)とで、警護支援についての見解に相違があったことが示唆されている。クリントン長官はこの点については慎重に、国務省と「ほかの政府機関(CIA)」は保障協定を強める必要があると述べたという。
【北アフリカの危機】
今回の焦点はベンガジ事件についてだったが、長官は北アフリカで拡大している危機についても初めてコメントした。フィナンシャル・タイムズ紙は、最大の新しい脅威の1つは「北アフリカ、主に戦後リビアから来た武器のパンドラの箱」だというクリントン長官のコメントを掲載した。また長官は、マリ北部などでテロ組織が「非常に深刻な、継続的な脅威になり得る」と指摘し、北アフリカの政府が自衛し、民主化を促進させるため「よりよい戦略」が必要だと警告した。ニューヨーク・タイムズ紙は、国防総省はモーリタニアにマリとの国境をパトロールするためのトラックを提供し、マリの隣のニジェールに偵察用セスナ機を提供していることを報じた。
なお、先週実施されたウォール・ストリート・ジャーナル紙とNBCテレビの共同世論調査によると、クリントン長官の支持率は69%と高いことが明らかになった。同長官は、後任となるジョン・ケリー上院議員が24日に上院の承認を受けた後、退任する。