対北朝鮮、「対話で核放棄」が不可能な理由とは?
23日、国連の安全保障理事会は、北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射に対する制裁決議を全会一致で採択した。この決議には、ミサイル発射に関わった北朝鮮の団体および個人の資産凍結ならびに渡航禁止の措置が含まれる。北朝鮮外務省は、安保理決議の2時間後に声明を出し、制裁をダブルスタンダードの極みであると非難するとともに、対抗措置として3回目の核実験を実施する可能性について言及した。
海外各紙は、北朝鮮を取り巻く状況とその目指すところについて報じている。
北朝鮮にとって好ましい外交的条件が、自ら示唆した3回目の核実験によって損なわれる可能性があるとフィナンシャル・タイムズ紙は、分析している。その好ましい条件には、まず、対話と援助の再開を次期韓国大統領が約していたことが挙げられる。これは、2010年の韓国哨戒艇沈没事件以来、大幅に削減されていた人道的支援を再開させ、北朝鮮トップと対話を行うと約束したものであった。
また、米国の次期国務長官に指名されたジョン・ケリー氏が、一貫して北朝鮮との対話を重視する姿勢を見せていたことも北朝鮮にとっては好ましい条件であったが、今後ホワイトハウスでは北朝鮮支援案に反対する者が出てくる可能性があると同紙は報じている。
北朝鮮が真剣に核を保有しようとしている、とニューヨーク・タイムズ紙は報じている。それによると北朝鮮は、核開発をちらつかせながら交渉を有利に進めようとする瀬戸際外交を展開しているのではなく、核保有を目標としているのだという。確かに北朝鮮は、23日の声明で、「世界の非核化が実現できない限り、朝鮮半島の非核化は不可能だ」と述べている。これについて同紙は、北朝鮮からの強烈なメッセージであるとする専門家の分析を紹介している。それによると北朝鮮は、どれほど経済援助を受けようが、また他国がどれほど柔軟になろうが、核保有国として受け入れられなければ交渉には応じないという。したがって、米国と韓国が依然として対話によって北朝鮮に核開発を放棄させることが可能だと信じているのであれば、今回の北朝鮮によるメッセージは警鐘となるというのだ。