ユーログループ新議長への期待と不満とは?
21日、ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)は、退任するユンケル現議長の後任に、オランダの財務大臣であるイェルーン・ダイセルブルーム氏を選出した。
ダイセルブルーム氏は46歳(2005年就任のユンケル氏が58歳)で、財務相就任後3ヶ月であり、中道左派オランダ労働党の出身。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、養豚場を経営し野菜栽培が趣味、スマートで社交的才能が非常に豊か、高い勤労意欲と禁欲的なライフスタイルが政治的見解に反映されている理想主義者、暴力的ゲームや性的に露骨な音楽ビデオについての問題提起で注目を集め、9月の選挙での労働党の驚異的躍進の功労者、などとの評判を紹介している。経験不足を指摘する声も多いが、同紙は「欧州危機を引き起こしたのも解決できなかったのも、非常にベテランの当局者」との、労働党総裁の反論を伝えた。
財務相会合では、最終的に反対はスペイン・デギンドス経済相の1票だけであった。各紙は、ユーロ圏の要職を「トリプルA格の」豊かな国ばかりが独占していること、オランダ含めそれらの国々が危機の被救済国に過酷な緊縮路線を強いていることに、スペインは反感を持っていると解説した。またフランスも、氏の就任を妨げるものではないが議論が不足していると、慎重な姿勢を示した。
これに対しダイセルブルーム氏と支持派は、氏が連帯を最優先する社会民主主義者であって、そうした南北対立の調停こそ議長の役目だと主張している。ダイセルブルーム氏は「トリプルAと非トリプルAの間、北と南の間に厳しい一線が引かれたユーロ圏を目指そうと言うなら、我々は一緒に前進はできないと申し上げるほかありません」「それは間違いなく私のアプローチではありませんし、今まで私が同僚たちと取ってきた方法でもありません」などと所信を表明した。
さらにニューヨーク・タイムズ紙は、ダイセルブルーム氏のもう一つの目標として、緊急会議や徹夜会議を削減する運営改革を挙げているという。氏はスムーズな意思決定のため「ディスカッションペーパー」の導入を示唆した。また、G20や国際金融機関などの「国際舞台で」ユーログループを代表するための「明確な権限」を求めた。