FT紙が指摘した全米ライフル協会の矛盾とは?
昨年12月、アメリカ・コネチカット州の小学校で起きた銃乱射事件を受け、オバマ大統領は銃犯罪対策を進めようとしているが、全米ライフル協会などは銃規制へ強く反対している。
【政府とNRAの対立】
ニューヨーク・タイムズ紙によると、政府は銃犯罪対策として、購入時の身元調査の強化や、殺傷力の強い攻撃用銃器を禁止することを検討しているという。実際、2010年の身元調査で銃を買えなかった人のうち47%は過去に重罪を起こしたか容疑をかけられていた。ただ、コネチカットの事件で使われた銃は犯人の母親が合法的に購入したものであり、限界も指摘されている。
一方、あらゆる銃規制に反対の立場をとる全米ライフル協会(NRA)は、学校への武装警察官配置を提案し、銃犯罪の原因としてテレビゲームに問題があるなどと主張する。オバマ大統領は武装警官配置には懐疑的な見方をとっており、基本的に対立構造となっている。ただし銃犯罪対策チームを率いるバイデン氏は、テレビゲームと映画に対し、暴力と銃犯罪との強い関連性を問題視する発言を行なっている。
【NRAの矛盾】
こうした中フィナンシャル・タイムズ紙は、NRAが無料3Dシューティングゲームをアップルストアに提供したことを報じた。このアプリでは銃に関するニュースを得られるとともに、様々な銃を使って的(人型のものもある)を射撃するゲームもできるという。NRAはこのアプリを銃の安全教育のためと説明している。ゲームに対して強い非難を行うNRAの矛盾した行動、事件から1ヶ月というタイミングでの公開には、ユーザーから非難の声が集まっていると報じられている。
【州レベルで進む銃規制】
なお、ニューヨーク州では先んじて銃規制強化の動きが起きているとウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じた。民主党のクオモ知事は15日、弾倉に関する制限や、精神疾患をもつ人物による銃の所持規制などを盛り込んだ銃規制強化法案に署名した。ほかに少なくとも10州が、何らかの規制強化を検討しているという。
オバマ大統領が近日発表を予定している具体策に注目が集まる。