フランス、マリのアルカイダ空爆 それでも苦戦の理由とは

 14日、アフリカのマリ北部を支配するイスラム過激派は、マリ政府軍と軍事介入したフランス(旧宗主国)の空軍に対して反転攻勢をかけ、マリ政府が支配するディアバリを奪取した。ディアバリは、政府が支配する境界線からさらに30km南に位置する。イスラム過激派によるディアバリ制圧は、マリ政府軍とフランス軍が中部の都市コンナを奪還し、フランス外相がテロリストの南進を阻んだとの声明を出した数時間後のことであった。
 海外各紙は、マリ内乱に関する詳細な分析を掲載している。

【“野心的”なフランスの攻撃】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、今回フランス軍の攻撃対象となったイスラム過激派「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ」(AQIM)の武器が極めて近代的であると報じている。同紙によると、2011年にリビア内戦が終結し、そこから略奪された武器が同組織に流れ込んだためだという。強力な武器などを背景に、同組織は、ドイツの面積の2倍はあるというマリ北部地域を支配下に置いていると報じられている。
 こうした状況下で、フランスの軍事作戦は広範囲に及ばざるを得なくなると予測されている。フランスの作戦目標は、イスラム過激派の南進を防ぐことのみならず、北部地域を奪還することにあるというが、これらの作戦目標はまったく別のものとすべきであるとする仏前首相のコメントを同紙は掲載している。ニューヨーク・タイムズ紙も、フランスの作戦目標は「野心的」であると指摘した。

【米国の対応】
 フィナンシャル・タイムズ紙は、マリの内乱は米国にとって悪夢であると報じている。同紙によるとオバマ政権は、テロリストグループとの対峙に武力衝突が有効であるとは考えておらず、これまで政治的交渉を重視してきたと分析している。ただし、AQIMが影響力を増すにつれ、ワシントンでも警戒感が強まってきたという。この点についてニューヨーク・タイムズ紙は、AQIMの最終的な標的が米国および欧州にあると懸念する米国防長官の談話を掲載している。 

 さらにフィナンシャル・タイムズ紙は、フランスが軍事介入を決断する過程において、思慮に欠ける軍事作戦の危険性について米国が警告していた経緯があるとも報じている。またペンタゴンも、攻撃目標地点までの遠大な距離と兵站の欠如から、米国の支援を受けた多国籍軍が作戦に成功する可能性について疑義を呈していたと同紙は報じている。

Text by NewSphere 編集部