アサド大統領、2,000人の捕虜を釈放した理由とは

 シリア政府は、反体制派が拘束していたイラン人48人の解放と引き換えに、反体制派の捕虜2,000人以上を釈放した。この捕虜交換取引は、トルコやカタールが仲裁役となり、3ヶ月に渡る交渉の結果実現したものだ。なおイランはこの解放を国営放送で大々的に放送し、外交上の勝利として祝福した。
 海外各紙は、今回の取引の背景を分析した。

 まず、シリアのアサド大統領が今回の取引に踏み切ったことは、イランへの依存度の高さと、国内情勢安定化に対するイランからの圧力の両方が表れていると、ニューヨーク・タイムズ紙などが報じた。劣勢が伝えられる中強硬な演説を行った直後というタイミング、そして交換人数が大きく異なることなどが理由だ。これを変化の兆しと期待する向きもあるが、悲観的な見方のほうが多いようだ、反体制派の一人は、「アサド大統領は、自国のことよりも他国との関係を心配していることがわかった」と述べている。

 イランはアサド政権を軍事・経済・技術面で支援している。このように、アサド政権にとってイランは貴重な支援国だが、今回の捕虜交換に続き、ロシアやエジプトと会談を予定しているなど、変化の兆しも見られる。

 なお、ニューヨーク・タイムズ紙によれば、国連のブラヒミ氏はアサド氏の退任に向けて、アメリカやロシアと会談をする予定だ。ブラヒミ氏は、アサド大統領が演説で語った和平案を「いつも通りの役に立たない構想の繰り返し」と批判し、「ひとつの家族が40年もの間、国を支配するのは、少し長すぎる」と表現して、辞任を強く求めている。

Text by NewSphere 編集部