EU失業率過去最悪 それでもバローゾ委員長が強気の理由

EU失業率過去最悪 それでもバローゾ委員長が強気の理由 8日、EU統計庁の発表によると、2012年11月のユーロ圏の失業率は11.8%と過去最高を記録した。失業者は1882万人にのぼる。特に24歳以下の失業率は24.4%と深刻な水準だ。
国別では、スペインが26.6%(24歳以下は56.5%)で最も厳しい状況。ギリシャが26%で続く。逆に低い国はオーストリア4.5%、ルクセンブルク5.1%、ドイツ5.4%などとなっている。
 しかし、欧州経済の牽引役ドイツでも、外需低迷を受けて11月は輸出入が急激に低下。工場受注も、季節振動とインフレ調整後で1.8%の下落となり(10月は3.8%の上昇)、第4四半期は一時的に経済収縮に転落するとの予測が強まっている。フィナンシャル・タイムズ紙は、債務危機が小康状態とされていても経済はなお不安定だと論じた。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、ユーロ圏の失業率は2014年前半までに12.5%まで落ちるとの専門家の予想を紹介した。

 各国で緊縮政策が続き、消費者や企業が景気の先行きを不安視している限り、雇用増加の見込みは薄そうであるが、欧州中央銀行(ECB)には、金利調整などの動きはみられない。ニューヨーク・タイムズ紙は、欧州委員会のバローゾ委員長の「ユーロに対する実在的な脅威は、本質的に克服されました」「2013年は、ユーロが崩壊するかどうかという質問はなくなるでしょう」との発言を伝えた。

 ただし景況感指数については、長期的水準からすればいまだ悪いものの、改善傾向にあるという。特にギリシャで「現在のユーロ圏の平均に近い所まで」改善が著しいほか、他の経済危機震源地であるポルトガル、イタリア、スペインでも上昇している。ニューヨーク・タイムズ紙は、訪独したギリシャのサマラス首相が、ユーロ離脱の瀬戸際であった8月の訪独時よりも明るく楽観的な様子だと伝えている。

 なお日本の麻生財務相は、「ヨーロッパの金融の安定は、円を含め、外国為替相場の安定を助けるものであります」として、ユーロ圏の国債、ならびに救済基金である欧州安定メカニズムの債券を購入するだろうと援護の姿勢を表明した。

Text by NewSphere 編集部