中国「世界最長」高速鉄道のインパクトは?
26日、北京~広州を結ぶ、全長2,298kmで「世界最長」となる高速鉄道が全線開通し、中国メディアは大々的に報じた。今回の開通で、2015年までに総延長18,000kmの高速鉄道網を建設するとの目標に近づくことができた。
ニューヨーク・タイムズ紙は、今回の鉄道プロジェクトが中国経済に活力を与えると報じている。建設員の雇用が高まる失業率の抑制に貢献し、また、北京~広州間の35の地方の停車駅周辺への経済効果も期待されると報じた。大都市に暮らす何億人もの国民が帰省の手段として利用することが見込まれ、確かに大きなインパクトがあるだろう。
一方ガーディアン紙は、このプロジェクトのリスクを指摘。中国政府は鉄道事業に、65兆円以上投資する計画を発表しており、今後の需要の高まりが不透明なことからも、膨大な投資金額に見合う成功はあるのか疑念の声があると報じられている。さらに、2011年7月の列車衝突事故をはじめとした深刻な問題が続いていることも不安視される。
また別の切り口として、飛行機の国内線との競争についてウォール・ストリート・ジャーナル紙は注目した。移動時間、費用、駅や空港までのアクセスなど様々な観点からそれぞれのメリット・デメリットを紹介した。鉄道は料金面で優位であり、飛行機の脅威になりうるとみられているが、中国の航空会社は、高速鉄道網が拡充することで旅行をする人が増え、長期的にはプラスになると前向きにとらえていることを報じた。