米議員、銃規制賛成に「転向」相次ぐ-政策の転換も導けるか?

米議員、銃規制賛成に「転向」相次ぐ-政策の転換も導けるか? 米コネチカット州の小学校で、児童20名を含む26名の命が奪われた銃乱射事件を受け、銃規制反対派であった議員の中から、賛成派に「転向」する者が相次いでいる。オバマ大統領が具体的な対策を明らかにしない中で、政界でのこういった動きにより、銃政策の転換へ向けて状況が変わりつつあるようだ。
 海外各紙は、銃問題の背景や、変化する議員の意識や掘り下げて報道している。

 これまで、共和党や地方の一部民主党議員は、豊富な資金と組織力を持つ全米ライフル協会(NRA)を支持基盤としてきた。そのためNRAは、銃規制阻止に対して確固たる影響力を築きあげてきた。
 しかし、多くの子どもたちが犠牲となった今回の事件を受け、規制反対の姿勢を改め、「転向」する議員が出てきたとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。ジョゼフ・マンチン上院議員(ウエストバージニア州)やニック・ラホール下院議員(同州)、ヴァージニア州知事マーク・ワーナー氏などは、NRAからの高評価を投げ捨て、「子どもたちの犠牲によって考えが変わった」として、銃規制支持の姿勢を表明したという。なお、NRAは18日、「(乱射事件が)二度と起きないよう、意味のある貢献をする用意がある」というコメントを発表した。21日には記者会見を開くともしている。

 こうした中、民主党のダイアン・ファインスタイン上院議員(カリフォルニア州)は、年明けに攻撃用武器を禁止する法案を提出予定で、無所属のジョゼフ・リーバーマン上院議員(コネティカット州)も、暴力に関する国家委員会の設立を強く求めるなど、具体的な対策を示し始めた議員も少なくない。数週間以内に何らかの対策に乗り出すと発表したオバマ大統領の行動は、この流れをどこまで活かすことができるだろうか、注目されている。

 またニューヨーク・タイムズ紙は、今回の事件で使用された半自動式ライフルAR−15が、これまでの乱射事件でも度々使用されたと指摘している。AR−15は軍事用ライフルを一般向けにしたもので、約60社が生産を行なっているという。1丁が600〜2000ドルで販売されており、1986年から今年前半までで約330万〜350万丁が米国内で販売されている。連射性能や命中力の高さ、簡単に付属品を取り付け機能を向上させることができる点から、最も人気の高い銃とされているようだ。2011年の調査によると、AR−15の購入目的はターゲット射撃(49.1%)、狩猟(22.8%)、個人防御(28.1%)となっており、ターゲット射撃は2009年の46.3%よりも増加している。販売者は、顧客の中には「アルマゲドン的な状況に備えて」購入していく人もいると話している。
 こうした現状も踏まえ、銃規制反対派の主張としては、何百万人もの国民が適切に使用している点を強調し、犯罪者はいかなる法律であってもそれに背いて罪を犯すものであるとして、規制で犯罪は予防できないとも主張している。昨年の殺人事件の死亡者12,664人のうち、ライフルで命を奪われたのは323人と僅かであることから、銃そのものが規制されるのはおかしいと反発する向きもある。

Text by NewSphere 編集部