EU銀行監督一元化-「歴史的」合意が与える影響

 12日から13日早朝まで14時間に及んだ徹夜の財務相会談で、欧州中央銀行(ECB)による一元的銀行監督案が合意された。所属国GDPの20%以上または300億ユーロ以上の資産を持つか、少なくとも3つの EU加盟国に子会社がある銀行は、ECBの監督下に入ることになる。シンクタンクの推定では、銀行数としては、欧州全土で約6000のうち180ほどに過ぎないが、銀行資産では約90%が含まれる。さらに残りの銀行についても、各国の金融当局からECBが監督業務を引き継ぐことは可能である。ただしEUの中でも、非ユーロ国の扱いに関して懸念するイギリス、スウェーデン、チェコは、この監督傘下への参加を表明していない。
 また、この会談で、遅れていたギリシャへの救済金支給も承認された。

 13日は、財務相会談に続いて2日間のEUサミットが開幕し、首脳たちはこの合意を歓迎した。ギリシャのサマラス首相は、「今日はギリシャにとって新しい一日であるだけでなく、確実にヨーロッパにとっても新しい一日です」と述べた。メルケル独首相も、この合意が「より信頼され、自信に満ちたユーロ圏に向けての大きな一歩」であり、サミットは今や「経済連携の強化」に注力し「今後数ヶ月のためのロードマップを設定することができます」と述べた。年明け以降も含め、サミットでは今後、銀行監督に続く次のステップとして、破綻銀行への対処方法や、経済改革のための小規模な共有基金の創設などが協議されることになりそうだ。

 2014年、ECBによる監督業務の実施に向けて、各国および欧州議会はこの合意を承認し、ECB政策評議会における議決形式など含め、具体的な規約細目を大急ぎで詰めなければならない。だが先の情勢は楽観視できない。
 景気後退の続く中、ニューヨーク・タイムズ紙は、イタリア選挙でベルルスコーニ元首相が返り咲く可能性にふれ、「市場を不安定化し、さらには金融危機を再燃させる可能性がある」と警告している。またドイツについても、メルケル首相は秋の総選挙に向けて慎重になり、何らかの合意形成というものに対し腰が引けるだろうと懸念している。
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、スペインがいよいよOMTプログラムへの救済申請に動かざるを得なくなるのではないかとの見方を伝えている。

Text by NewSphere 編集部