ベルルスコーニ、出馬撤回?モンティ首相の動向に注目
イタリアのベルルスコーニ前首相は、辞意を表明しているモンティ首相が、「中道右派」候補として選挙に出馬するなら身を引くことを示唆した。ただし、依然として自分が現在も首相候補であるとも述べており、1週間前に首相への返り咲きを表明して以来の言動に注目が集まっている。
ベルルスコーニ氏の発言の背景には、昨年11月に発足したモンティ内閣が進めてきた増税などの債務危機対策により、景気後退が長引き、失業率が11%に達するなどの現状がある。とはいえモンティ氏は、中道政党や欧州諸国からの支持は厚い。一方12日発表の世論調査によると、ベルルスコーニ氏率いる自由国民の支持率は20%弱にとどまる。ベルルスコーニ政権で連立パートナーだった北部同盟も、同氏の首相立候補を支持しないと表明していた。
こうした中、ニューヨーク・タイムズ紙はベルルスコーニ氏の来歴に焦点を当てた。実業家で富豪でもあるベルルスコーニ氏は、90年代に政治に身を投じてから、その強烈な個性で、イデオロギー的だった旧来の政治に風穴をあけたと評している。一方で、女性問題や汚職疑惑などスキャンダルも多く、自身でも「これほど検察官に質問された政治家は世界中でも自分だけだ」という旨の発言をしていることを紹介した。なお、これらについては不起訴処分、保留などにより有罪とはなっていない。
また主要放送局の多くを所有し、国営放送にも権限を行使してきたことも指摘された。オバマ大統領に対して「日焼けしている」というなど、きわどい発言や失言でも有名だとも紹介されている。
今回の首相出馬をめぐる一連の言動について、ベルルスコーニ氏は「個人的な野心はない」と発言しているが、真意は見えない。