チャベス・ベネズエラ大統領がん再発-次に待つのは改革か、路線継承か-
ベネズエラのチャベス大統領(58)は9日、再発したがんの緊急手術のため、キューバに向かった。大統領は8日、国営テレビでの演説で、新しい選挙ではマドゥロ氏が社会党の候補者となり、国民が彼に投票することを「心から願う」と訴えた。マドゥロ副大統領(50)は労組幹部やバス運転手の経験を持ち、セクター間の交渉や反政府勢力の統一に最も長けた政治家としてチャベス大統領に目をかけられている。
チャベス大統領は10月に再選したばかりで、任期は6年。4期目の就任式が来年1月10日に予定されている。憲法の規定では、大統領が就任式前または就任後4年以内に死亡した場合、再選挙が行われることになっている。
海外各紙は、新しい大統領選挙の行方に注目するとともに、チャベス氏が不在となるベネズエラの今後の不確実性を懸念している。
チャベス氏は、約14年にわたり社会主義革命という彼独自のブランドをつくり上げた、強いカリスマ性を持つ人物と評されている。彼のがん再発で、政局の不確実性は高まることは必至だ。
再選挙となった場合、マドゥロ氏のほかに、10月の大統領選でチャベス氏に敗れた野党統一候補のカプリレス氏(40)も出馬するとみられる。フィナンシャル・タイムズ紙は、カプリレス氏が大統領選で好機を得るには、16日に行われるミランダ州知事選で大勝利をおさめる必要があると報じた。ミランダ州知事選ではエリアス・ハウア元副大統領も出馬しており、政府とチャベス氏のベネズエラ統一社会党は彼女を支持している。同紙はまた、大統領選には国民議会のディオスダド・カベジョ議長も候補に挙がるとみている。カベジョ氏は陸軍から支持されており、政府と親密な関係を持つビジネスグループ「Boligarchs」と強いつながりを持つ人物だ。
マドゥロ副大統領についてニューヨーク・タイムズ紙は、チャベス政権内で主要な役割が与えられていた軍部や軍将校らを統制するのは難しいだろうとみている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙もまた、「チャベス氏のカリスマ性を欠いたマドゥロ氏は、政権内の派閥を統一するのは難しく、カプリレス氏との選挙で苦戦するだろう」という一部のアナリストの見解を掲載した。
チャベス政権は石油経済に依存してきた。ベネズエラの石油産業は年間経済生産の3分の1、政府収入の5分の3、輸出収入の90%を占める。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「石油価格が比較的高いままなら、チャベス氏不在のチャベス主義は続く」、しかし「ポピュリスト政権はお金を使い果たしたときに崩壊する」という専門家のコメントを掲載し、ベネズエラの経済成長は劇的に減速すると予測した。