ハマス指導者は初のガザ訪問で何を語ったか

ハマス指導者は初のガザ訪問で何を語ったか 8日、パレスチナ・ガザ地区を支配する武装勢力ハマスが、創設25周年記念集会を開催。亡命中であったハマスの政治指導者、ハレド・メシャール氏も登壇した。各紙は集会が大いに盛り上がった様子を伝えた。

 メシャール氏は56歳で、ヨルダン川西岸地区の出身。1967年の第三次中東戦争時に11歳で家族とともに故郷を脱出しており(1975年に一時帰郷)、ガザへは初訪問となる。現在ハマス内では穏健派とされ、指導部の主流派ではないが、最近の停戦において交渉者として再浮上した。しかしこの日のメシャール氏は「パレスチナは川から海まで、南から北まで我々のものだ。寸土の譲歩もありえない」「我々は、イスラエルの占領の正当性を認識することは決してない。すなわち、どれだけ長期に渡っていようとも、イスラエルの占領に正当性などないのである」などと、強硬な演説を行った。

 一方でメシャール氏は、ライバルであるパレスチナ自治政府およびファタハ党との和解も強調した。ハマスは先月、武力闘争によりイスラエルから有利な和解を引き出したとして存在感を増したが、穏健派のパレスチナ自治政府は国連採決でパレスチナを非加盟オブザーバー「国家」として認めさせることに成功している。それはメシャール氏も「小さいが良い一歩」と評価しており、集会にはファタハ(パレスチナ自治政府)側からの来賓も招待された。

 こうした姿勢からは、ハマスがパレスチナ自治政府をも取り込んで活動を強化する狙いであるようにも思われる。フィナンシャル・タイムズ紙およびニューヨーク・タイムズ紙は、それについてイスラエルおよび諸外国が警戒を強めていると報じた。しかしウォール・ストリート・ジャーナル紙はイスラエル当局が、メシャール氏は危険人物との認識ではあるものの、周辺に迷惑をかけない限りハマスのガザ支配について関知せず、ゆえにメシャール氏の入国も黙認した、との姿勢であると報じている。また、EUがガザとエジプトとの国境検問態勢の見直しについて提案したが先月ハマスに拒否されたとも伝えており、同紙はイスラエルや諸外国の反応よりもハマスの動向に平和維持の責任があるとの論調のようだ。

Text by NewSphere 編集部