モンティ伊首相辞意表明 ユーロ危機の新たな火種となるか?

モンティ伊首相辞意表明 ユーロ危機の新たな火種となるか? 8日、イタリアのモンティ首相が辞任の意向を発表した。辞任の原因は、政権を支持してきた中道右派の自由国民党が、内閣を不信任する動きを見せたことによる。辞任の時期は、予算成立後の12月中と見られている。これにより、総選挙は予定されていたよりも6週間早まり、2月にも実施される可能性が出てきた。
 モンティ首相は、前任のベルルスコーニ氏がスキャンダルなどで政界から引退した後に、首相に任命され、緊縮財政策を取ることによって、市場から一定の評価を得るとともに、EU からも信頼されていた。一方のベルルスコーニ氏は、モンティ氏の辞任発表前に、政界に復帰し、4度目の首相就任を目指すと発表していた。
 海外各紙は、危機的な状況から立ち直りを見せていたイタリアが、今後どのような道を歩むのか注目している。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、政権復帰を目指すベルルスコーニ氏が、国民のムードに歩調を合わせて、モンティ首相の緊縮財政と統一通貨を攻撃する選挙運動を展開するであろうと報じている。その点についてインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙は、モンティ首相による改革が(議会に未承認のものも含めて)将来の政権によって実行されなくなるのではないかと多数の投資家と欧州の指導者によって懸念されていると報じている。

 フィナンシャル・タイムズ紙は、イタリア国債の利回りについて報じている。それによると、今回の一連の政治状況を受けて、10年物の国債利回りがすでに0.1%上昇し4.53%となったという。それでも、モンティ首相がベルルスコーニ氏を引き継いだ13か月前の時点よりもまだ2.5%低いと同紙は指摘している。また、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙も、欧州中央銀行総裁のマリオ・ドラギ氏による支援もあって、モンティ首相が国債利回りを低下させることに成功していたと報じている。

 インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙は、中道左派の民主党が議会で比較第一党になるだろうという世論調査の結果を報じている。ただし、民主党はベルサーニ書記長を首相候補とすることにまとまったが、連立の相手については意見が分かれているという。また、ベルルスコーニ氏率いる自由国民党には分派的な動きがあると同紙は見ている。フィナンシャル・タイムズ紙は、民主党にイタリアの改革を停滞させる動きはないとするアナリストの見解を紹介している。

Text by NewSphere 編集部