ギリシャ支援決定-「焼け石に水」との声も-
27日のユーロ圏財務相会談で、棚上げされていたギリシャへの344億ユーロ(約3.4兆円)の援助金支給が合意された。ギリシャ経済を復活させられる見込みについて各国財務相や国際通貨基金(IMF)の意見が分かれており、会談が繰り返されていたが、ようやく合意に漕ぎつけた格好だ。ギリシャが緊縮政策の条件を守り続けられれば、さらに93億ユーロ(約9300億円)が2013年第1四半期に3分割支給される予定である。
現在GDPの170%以上と推定されるギリシャ債務の削減目標は、従来IMFは2020年までに120%と主張、それに対してユーロ圏各国は期限を2022年とするのが妥当としており対立していたが、2020年までに124%、2022年までに「実質110%以下」とする折衷案が採用された。
また初回融資の利下げ、二度目の融資の満期15年延期および利払い期限10年延期、欧州中央銀行(ECB)が保有するギリシャ国債からの利益約70億ユーロの放棄、といった内容が合意された。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、これらの措置で捻出された資金を活用して買い戻しを行うことが、債務削減の最有力手段である。
市場はこれに好感触を示し、ギリシャ国債の利率は下落した(価値は上がる)。ギリシャのサマラス首相も、「すべてのギリシャ人のための新しい日」のスタートであると、合意を歓迎した。しかしこれらの措置は、債権者に損を強いることでもある。フィナンシャル・タイムズ紙は、債権者がもし今ギリシャ国債の買い戻しに応じれば71.9%のヘアカット(元本目減り)になると伝えた。またドイツ議会では、野党がギリシャのユーロ圏離脱を恐れて合意支持を表明したものの、(来年9月のドイツ総選挙以前ではないとしても)将来的なヘアカットは避けられないだろうし、ヘアカットはドイツにとって違法であると警告した。ウォール・ストリート・ジャーナル紙も、借り入れコスト以下に金利を下げれば全債権国が損を被ると警告した。
各紙は、経済情勢や民間債権者の動向など不確定要素が多いことを挙げて、この合意について、今はまだ時間稼ぎ程度の意味しか見いだせないとの見方も伝えている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は8月に25%あった失業率が来年、平均22.8%まで改善するとして計算されていることや、5年間収縮し続けてきた経済が2014年から経済成長に転じるとされていることを疑問視し、「超楽観的」な経済見通しに基づいた計画でしかないと警告した。