長老の呪縛が残る中国新体制、革命力はいかに
【長老たちによる密室選挙】
ウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じるように、中国では江沢民前総書記を筆頭に、退陣する指導部や党の長老などが密室で新たな指導人事を決定していく。選挙や政策論争によってではなく、人脈が何よりも重要なのだと指摘される。今回も長老たちが納得する人事を探った結果、平均年齢が62歳のベテラン勢に落ち着いたと分析されている。中でも、トップに選出された習氏の父親は人民解放軍の創立者であり、一族が政治・経済界で重大な力を持っているとニューヨーク・タイムズ紙は指摘している。他にも正統な血筋である兪氏や、有力者の娘と結婚している王氏なども強力な人脈が伺えるなど、共産党による消滅が期待されていた、帝国時代の“縁故主義”が再び色濃くなってきたとされている。
【新体制の革命力はいかに】
新体制には 改革派の汪洋氏や李源潮氏は選出されておらず、「変化よりも継続性を重視した」と見られている。このため、環境が著しく変化する中国にとって必要な改革を進めにくいのでは、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。官僚汚職の撲滅をうたっているものの、経済政策担当で構造改革派の王氏が、汚職を取り締まる役目へ配置されたことに対しては、海外関係者から「残念」との声が報じられている。また、失速する経済問題への早急な取り組みが期待される中で、特定の既得権益層による国営企業が栄える一方で民営企業が伸び悩む「国進民退」が囁かれている。