EU財務相会議、ギリシャ問題や銀行連合案を協議―各国間になおも深い溝―

 12日のEU財務相会議ではギリシャ債務支援の問題、13日には銀行連合案が協議された。
 ギリシャは、EUから救済条件として求められていた緊縮予算を可決し、支援金の交付を求めていた。支援金が得られなければ、ギリシャは今週にもデフォルト(債務不履行)に陥る危険がある。
 銀行連合については、業績悪化した銀行が、自国政府に負担をかけず直接的に支援を求められる仕組みとして構想されているものであり、欧州中央銀行(ECB)が統一的に各国の銀行を監督することが想定されていた。

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、ギリシャ支援についてはIMFと各国首脳都の対立がみられる。ギリシャ債務が2020年までにGDPの120%まで削減可能だとするIMFと、その計画は「野心的過ぎる」として、2022年まで延長することを主張するユンカー・ルクセンブルク首相の意見が割れていると報じられた。結局、少なくとも11月20日まで支援金の交付を保留し、財政再建措置の実現性について様子を見ることが決まった。なお、ショイブレ・ドイツ財務相は、資金交付以外に即時効果を発揮する対策として、利下げに言及しているという。

 銀行連合については各紙とも、非ユーロ圏諸国の扱いなどについて意見が一致せず、12月のサミットで銀行連合案が合意に達することができるのかどうか怪しい雲行きであると報じている。まずECBを銀行連合の統一監督者に据えた場合、その最終決定を担う運営審議会がユーロ圏諸国だけから成る点が不公平であり、EU条約およびECB規約を改正するか、監督権限をECB以外のどこかに持ってくる必要があると、スウェーデンは主張している。
 またフィナンシャル・タイムズ紙は、監督対象を大手銀行だけに限るべきだとするドイツと、全銀行を含めるべきだとするフランスが対立した事も伝えた。
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、ECB本来の主任務は金利維持であるから、それが銀行監督も兼任した場合、苦しむ銀行を助けるために緩い金融政策を採用したがるのではないかとドイツやフィンランドが懸念している事も伝えた。ミシェル・バルニエEU域内市場担当委員は、これら懸念に対し、妥協点を模索しているようである。
 これら反対意見は必ずしも多数派ではないが、銀行連合の成立にはEU27ヶ国の全会一致が必要になるため、合意は遅れる可能性があると指摘されている。

Text by NewSphere 編集部