G20財務相サミット開幕 3つの焦点
4日および5日、メキシコシティでG20サミット(主要20ヶ国地域 財務相・中央銀行総裁会議)が開催される。今会合における焦点は3つであると報じられている。1つ目はヨーロッパの債務危機、2つ目は日米の財政引き締め問題、3つ目は「バーゼルIII協定」についてである。
1つ目の欧州の債務危機について。
G20の声明案では、「ヨーロッパで最近発表された政策の複雑な実施が遅れる可能性」が挙げられている。具体的には、スペインが救済を申請するのかどうか、まだ実現していないECBの債券購入プログラムが起動するかどうかについて、不確実性が残っていると海外各紙は報じている。
また、The Wall Street Journalは、ギリシャの資金が11月16日に枯渇する件で、債権者たちが対立していることを報じた。IMFは、欧州が何百億ユーロものギリシャ債務を帳消しにすることを望んでいるが、欧州の債権国もECBも、そんな可能性を受け入れる用意はできていないと指摘した。
2つ目のアメリカ・日本の財政問題について。
G20の声明案では、アメリカや日本の財政引き締めにより、世界経済に悪影響が及ぶことが懸念されている。The Wall Street Journalは、アメリカで減税の期限切れと政府支出の強制削減が来年1月に重なり、景気後退の危険が叫ばれていることを指摘。しかし大統領選などの影響で議会の審議は停滞している。日本もまた、独自の財政の壁に面していると指摘されている。起こりうる政府支出や債券競売の保留までわずか1ヶ月だというのに、各政党は、同国の債務上限引き上げをめぐって口論していると報じられている。
3つ目の「バーゼルIII協定」について。
この協定では、各国が年明けまでに、銀行の自己資本比率および流動性強化のための法整備を完了しなければならないとされているが、進捗の遅れが懸念されている。一方で、International Herald Tribuneによると、メキシコ財務省のヴァレ銀行監督長官は遅延の報告はないと否定し、締め切りに間に合わなかった国は「制裁に直面する」と強気に発言している。
総じて、今回のサミットに具体的成果を期待する報道は少ない。The Wall Street Journalはガイトナー米財務長官ら要人の欠席の多さを指摘し、リスクの強調はできても具体的行動の発議にまでは結びつかないと論じている。