中国、EUのダンピング疑惑について調査-対抗措置か-
中国商務省は1日、EU 圏の企業がポリシリコンのダンピングを行なっているとして、調査を開始すると発表した。ポリシリコンは、太陽光発電パネルの原材料であり、中国は国内生産だけではなく、ヨーロッパからの輸入にも依存している。中国当局は、ヨーロッパ企業によるダンピングの証拠がそろっているとしているが、具体的な企業名はあげなかった。また、調査の結果が出るまで1年かかるとしている。この調査は、EU による中国製ソーラーパネルのダンピング疑惑調査に対する対抗措置と見られるが、中国国内のポリシリコン生産企業による陳情を受けたものだとされる。すでに実施されている米国および韓国に対するダンピング調査に包括されることになる。
激しい貿易摩擦の要因とこれまでの経緯は?
Financial Timesの報道姿勢―太陽光発電部門貿易摩擦の背景―
昨年度、世界のポリシリコンの市場規模は 74 億ドルであった。ちなみに、EU で最大のポリシリコン生産国はドイツであり、昨年度における世界の生産量のうち 16 %を占めていた。このポリシリコンが、今回のように貿易摩擦問題の対象とされたのはごく最近のことであるという。背景には、中国企業を含む世界中のソーラーパネル関連メーカーが、利益縮小などが原因となって倒産の危機に瀕している事実があると指摘。そのため、中国製ソーラーパネルが EU によってダンピング調査を受けた際、中国商務省は、世界のソーラーパネル産業が大きな打撃を受けると警告を発していたという。実際、太陽電池級ポリシリコンを世界で最も消費した国は、中国であったと報じた。
The Wall Street Journalの報道姿勢―中国vs欧米諸国―
太陽光発電関連部門では、他にも熾烈な戦いが繰り広げられていると報じた。インド企業も同国政府に、 EU と同様の調査をするように働きかけているという。またアメリカは、中国製太陽光パネルおよび電池の輸入に対して、反補助金および反ダンピングの暫定的関税をすでに発表していることを取り上げた。この関税が発効するのは、中国のダンピングが米国企業に損害を与えていると米国際貿易委員会によって決定された場合である。その決定は、今月下されるものと見込まれる、と報じた。