ギリシャ、危機脱出の道のりは険しい
30 日、ギリシャの議会は公共事業民営化法案をかろうじて成立させた。これを受けて、同日に会議を開いていたユーロ圏経済首脳は、残りの緊縮財政法案も通過させるように求めた。ただし、ギリシャ国内では一連の法案をめぐり与党間で対立が見えてきた。また、ギリシャ政府が新たに発表した予算見積も、同国およびユーロ圏各国に問題を突きつけた。
新予算見積の内容とギリシャ国内情勢は?
Financial Timesの報道姿勢―絶望的なギリシャの新予算見積―
31 日、ギリシャの財務問題の深刻さが浮き彫りになった。発表された新たな予算見積は、ユーロ圏首脳が描いていたワーストケースを超過する。来年度のギリシャの負債は、3 月の救済合意時に出された予測において、国内総生産(GDP)の 167 パーセントまで達すると見込まれていた。しかし、ギリシャ議会が公表した予算見積によると、 GDP の 192 パーセントにまで上昇するという。この予測は、2020 年までに負債を GDP の 120 パーセントまでに負債を減らすとする希望を打ち砕くものになった。これにより、ドイツを始めとする債務国は、新たな救済策に強い反対がある国内で再び政治的な苦境に立たせられることになったと指摘した。
International Herald Tribuneの報道姿勢―ギリシャにかかる内外の圧力―
30 日、ユーロ圏の各国経済首脳は、声明の中で、ギリシャが債務不履行を回避するために必要となる次回の救済基金を受け取るためには、さらなる緊縮財政策を実行しなければならないと述べた。30 日に発表されたギリシャ政府による経済改革案には、 定年の 2 年間延長(67 歳)、給与および年金のカット、増税が含まれている。これらの改革案は議会で承認される必要があるが、ギリシャ国内の政治状況は依然として不透明である。労働組合は、議会での採択の日程に合わせて来週 48 時間のストを打つ構えだ。
先のユーロ圏経済首脳声明では、11 月 12 日までにその進捗を評価したいとしている。
The Wall Street Journalの報道姿勢―ギリシャ連立政府の問題―
公共部門民営化に関してより柔軟な権限を政府に与える法案が、30 日、ギリシャ議会をかろうじて通過した。ただし、緊縮財政と再建のための一括法案のための議論を一週間後にひかえて、与党連立政権内に亀裂が深まった。民営化法案法は、容易に成立するものと投票前に予測されていたが、実際は、ほとんどの条項が小差で可決された。これは、連立政権内で投票を棄権した政党や、投票が分かれた政党があったためだ。ギリシャがユーロ圏から財政支援を受けるためには、これから 135 億ユーロ(約1.35兆円)相当の緊縮財政法案を成立させる必要がある。ただ、政府に法案を通す力量があるのか疑問視する声も出ている。