ハリケーン「サンディ」の影響―各方面に残した爪あと―
大型ハリケーン「サンディ」直撃から一夜が明けた。死者は64人に及び、600万世帯が停電の被害にあった。電力ラインの修復には1週間以上かかると推測されている。飲食店や小売店などでは、電力供給が途絶え、食品などをすべて廃棄しなくてはならないなどの被害も大きい。さらに、交通機関の間引き運転、サプライチェーンの寸断、通信の不安定化などの被害も続いている。
The Wall Street Journalの報道姿勢―被害を利益が上回る可能性も?―
「サンディ」の被害は、アメリカの3分の1の生産を占める地域に集中している。これらの地域で1日経済活動が止まると、約180億ドル(1.4兆円)の損失が出ると分析した。
一方、恩恵を受けている企業もある。家屋の修復に使われる物や発電機などの需要は爆発的に伸びており、その売り上げは被害額を上回る可能性もあるという。
また石油の価格に関しては、通常ならばハリケーンの後は急上昇するのだが、今回は被害を受けた地域に製油所が密集していなかったために上昇を免れた。
The New York Timesの報道姿勢―オバマ大統領の対応に「エクセレント」―
大統領選への影響に着目した。
オバマ氏は、連邦が各州や各地域を積極的に援助する「大きい政府」を目指す一方、ロムニー氏は各州や地域が主役として動き、連邦はあくまで後援に回るとする「小さな政府」を目指している。その方針が、今回のハリケーンへの対応に表れたと報じた。
オバマ氏は30日、被害が深刻だったニュージャージー州を視察し、州知事のクリスティ氏との会談も行った。オバマ氏は被害者の前で、「私は長い期間において、ここにいる」と積極的な援助の姿勢を見せた。クリスティ知事は感謝の言葉を述べた。オバマ氏の対応に関してABCニュースが行った調査では、10人中8人が「エクセレント」や「グッド」などの高評価を下した。
一方のロムニー氏は、フロリダ州でキャンペーン活動をした。彼は今回のハリケーン被害についても、「災害に対応する主役は州や地域だ。連邦はそれを手助けする立場にいることが最善だ。」と述べた。前フロリダ州知事も「私の今までの経験上、災害に対応するうえで重要なのは州や地域のレベルでの行動だ」と支持のコメントをした。ロムニー氏の課題は、緊急事態に対しての連邦の立場を確立させる事だ。無視するわけでもなく、援助しすぎるわけでもないという立場で、うまくバランスをとる必要がありそうだ。
Financial Timesの報道姿勢―保険会社の損失―
大型ハリケーン「サンディ」直撃から一夜が明けた。死者は64人に及び、600万世帯が停電の被害にあった。電力ラインの修復には1週間以上かかると推測されている。飲食店や小売店などでは、電力供給が途絶え、食品などをすべて廃棄しなくてはならないなどの被害も大きい。さらに、交通機関の間引き運転、サプライチェーンの寸断、通信の不安定化などの被害も続いている。
ハリケーン「サンディ」は大きな被害を及ぼしたため、その補償をする保険会社は巨額の支出に見舞われることになるだろう、と報じた。
推定では、補償額は70億ドル(約5600億円)から450億ドル(約3.6兆円)にのぼると見込まれており、アメリカ史上3番目の規模となる可能性がある。
保険会社が大きな損失に直面する中、投資家たちは冷静な反応を見せている。保険会社は株の売り圧迫をうけたが、ほとんどの会社の株の損失は1%にも満たない。
また今後の被害については、電力供給や交通機関の修復のスピード次第である。もし時間がかかれば、ビジネスの中断などによる被害の請求が増加し、補償額はまだまだ上昇する可能性もある。信頼できる見通しが出来るのは、数週間ほどかかるようだ。