出口見えぬユーロ危機ースペイン・イタリアは救済要請せずー

 ヨーロッパでは未だ経済的な信用不安が長引いている。そんな中、イタリアのモンティ首相とスペインのラホイ首相は29日、マドリードで会談した。
 両首相とも、欧州中央銀行による国債購入プランを使う予定はなく、国家予算に介入するスーパーコミッショナーの要請もしないと述べた。一方、銀行同盟については急速な普及を推進していくと述べた。
 また、ユーロ危機をスペイン安定化により抑制したいと願うEUリーダーの脅威の1つが、スペイン・カタルーニャ州の混乱だ。カタルーニャでは分離独立熱が高騰しており、9月、100万人以上ものデモ隊がバルセロナの街頭に結集していた。事実上独立の是非を問うことになる地域議会選挙は、11月25日に行われる。

The New York Timesの報道姿勢―スペイン、イタリア、救済申請せず―
 スペイン、イタリア両首相は、政府の財政を欧州の監視下に置きたくない。一方、欧州中央銀行のドラギ総裁は「ユーロ圏で信頼を回復したいなら、一部の統治権を欧州レベルに譲渡すべき」と考えていると報じ、両者のずれを指摘した。
 また、スペイン銀行が29日、バッドバンクが銀行から不良化した不動産関連資産を引き取る際の価格割引率を決定したことを取り上げた。バッドバンクのローンは平均45.6%の割引率、抵当流れの資産は平均63.1%の割引率がある。しかし、そのような割引率がリスクを共有させたい個人投資家にとって魅力的かどうかはわからないと報じた。

The Wall Street Journalの報道姿勢―カタルーニャ州で分離派の不満が爆発―
 カタルーニャ州の独立派の動きを報じ、スペインの内紛は、5年目の危機に突入したユーロ圏をさらに混乱させると警鐘を鳴らした。
 同州は一人当たりGDPが3万500ユーロであり、EU諸国家と比較すると7位に位置する規模だ。スペイン国家財政の中心でもあるが、州単体で見ると、納税額と補助金額が釣り合っていないという意見もある。インフラに対する不満が根強い。
 独立した方が経済的に優位という楽観的な意見もあれば、その場合EUに受け入れられるかは疑問で、ビジネスも成り立たなくなるとの悲観的な声もある。

Text by NewSphere 編集部