アメリカに忍び寄る「財政の崖」の危機
2013年1月初め、「財政の崖」と呼ばれる事態が訪れる。ブッシュ政権下で始まった減税の期限が切れて実質的な増税となり、歳出の強制削減が始まるのだ。民主・共和両党がこれらを避けるための協議に合意しなければ、アメリカ経済は急減速し不況に突入すると研究機関らは警鐘を鳴らしている。
Financial Timesの報道姿勢―米大企業のCEOら、予算の構造改革を要請―
大企業80社以上のCEOが、ロビー団体「フィックス・ザ・デット(債務正常化運動)」を支持し、社会保障費抑制などの構造改革を求めたと報じた。短期的な脅威を避けようとするCEOらの要求が通るか否かは、国内経済に影響すると指摘した。
財政の崖が回避されない場合、まず金融市場の混乱が始まる。歳出削減はすぐに企業の業績に影響を与えるものではないが、不況により企業債務の拡大も懸念される。欧州・中国が苦しい状況の中、アメリカの需要減少は企業にとって死活問題になりかねないと警告している。
The Wall Street Journalの報道姿勢―投資家たちは「財政の崖」でゲーム―
投資家にとって最も緊迫した問題は、来る大統領選挙とブッシュ減税の保留期間によって、配当税が上がるかどうかであると報じた。しかし一部の投資家にとっては希望の兆しとなるとの見方も示した。2010年に同じく減税が失効した際、14の大企業が年末3ヶ月に特別配当を支払ったことを挙げ、多くの企業が12月31日前に多くの特別配当を支払うと見ている。
また、「財政の壁」が実現するかどうかは選挙結果にもよるとし、投資家らは大統領選挙後、2大政党が分裂することを期待していると報じた。
もし議会が現在の税制を維持する合意に至らなければ、企業は公共料金など大きな配当を支払う。このため、投資家にとって残念なことに、税後の配当利回りは半減するというゴールドマンのコメントを紹介した。