日本の輸出、9月は大幅減―大震災以来の大打撃―

 22日の財務省発表によると、9月の日本の輸出は前年比10.3%減となった。特に尖閣問題で緊張の高まる中国向けが14.1%減(8月は9.9%減)、経済危機の続くEU向けが21.1%減などと、大幅な下落となっている。品目別では自動車、船舶、電子部品などが特に低迷している。
 輸入は原子力発電を補うための石油輸入などにより4.1%増、差し引き貿易収支としては5586億円の赤字で、9月単月での貿易赤字は1979年のオイルショック以来初。
 東日本大震災が起きた2011年3月以来の規模の輸出不調であり、日銀は政策見直しを迫られている。

Financial Timesの報道姿勢―中国自体の成長低迷も原因―
 消費者主導の不買運動にはあまり影響されないはずの工業機械部門が大きく低迷していることから、尖閣問題による摩擦だけではなく、中国自体の成長低迷も原因と指摘している。また11月は中国で10年に1度の政権委譲が予定されていることから、その時点での数字が今後の貿易方針に大きく影響するとの見方を伝えている。

The New York Timesの報道姿勢―プレッシャーかかる内閣、日銀―
 トヨタ自動車の中国における売上ほぼ半減、ロイター短観による景況感指数マイナス17(12ポイント悪化)など、「大震災以来」あるいは「リーマンショック以来」の危機的な数字を伝えている。10月以降もさらに落ち込む見通しであるという。
 野田首相は先週、内閣に刺激策策定を指示していたが内容に乏しいため市場の反応は薄く、また9月に資産購入プログラムを強化したばかりの日銀にもさらなるプレッシャーが掛かった、と難しい情勢を報じた。

The Wall Street Journalの報道姿勢―両国にも全世界にも悪影響―
 2005年にも歴史教科書問題で反日運動が激化したが、今回のような貿易停滞には至っていないと指摘している。
 中間財を含む貿易の停滞は、中国の工場を回すための資材不足にもつながるとした。また貿易停滞は中国より日本のダメージが大きく、「年明けまで続けば景気後退は避けられない」との見方を伝えた。
さらに、合計で世界総生産の5分の1を占める経済大国どうしの貿易が冷え込むことは全世界に悪影響を及ぼすとして、国際通貨基金(IMF)が危惧している点を報じた。

Text by NewSphere 編集部