インドネシア経済の光と影
インドネシア経済について対照的なニュースが報じられた。Financial Timesは、中間層の購買力拡大を受け、インドネシアへの投資が急増していることに焦点を当てた。世界経済に停滞感が漂う中、明るいニュースとなった。一方The Wall Street Journalは、インドネシア大手資源企業のスキャンダルを報じた。名門ロスチャイルド家も関係するため注目度は高い。
Financial Timesの報道姿勢―直接投資が急増―
現在インドネシアでは、中間層の購買力が増加しているため、海外からの直接投資が盛んなことを取り上げた。例として、東インドネシアのマカッサルという都市は、結婚式やイベントが盛んに行われ、ホテルは満室状態が続いていると紹介。また、日常品や携帯電話などの消費量も爆発的に伸びていると報じた。
新たな市場に目をつけた海外の企業・投資家は直接投資をはじめ、発展に拍車をかけている。マカッサルでは、今年の前期だけでも約28億ドル(約2400億円)の直接投資が記録されている。Kallaグループは今年10億ドルを投資し、東インドネシアに最大のショッピングモールを作った。毎日2万人近くの客が足を運び買い物を楽しんでいるという。インドネシアでは他にも、新たな電力発電所や鉛精錬所の設立、ホテルの増設、病院の創設など、発展の勢いは止まりそうにないと報じた。
The Wall Street Journalの報道姿勢―急成長の陰で、信頼喪失の危機か―
急成長しているインドネシアでのスキャンダルを報じ、海外投資家の信頼にどう影響するのかを分析した。
スキャンダルとは、インドネシアの大手石炭会社ブミにおいて、創設者の一人であるロスチャルド氏が辞任するというものだ。彼は辞表の中で、重役の株主への対応や、法令遵守に対しての監視の甘さなどで、信頼をなくし辞表を決意したと表明した。
注目が集まるインドネシアでのこの騒動が、海外の投資家や企業に悪影響を与える可能性があると懸念する専門家もいる。しかし政府は、「企業同士で起こった問題であり、こういったことが国中で横行しているわけではない」と発表し、ダメージを防ごうとする動きを見せた。また、投資家は長期的な視点でインドネシアに投資をしているため、投資意欲がそがれる心配はないという指摘もあるとした。