露石油大手ロスネフチ、世界最大石油メジャーへ

ロスネフチ ロシア国営石油会社ロスネフチは18日、英石油大手BPに対し、BPがロシア新興財閥AARと折半出資して設立したロシア石油3位TNK-BPの持ち株50%を約280億ドルで取得することを提案する。取得費用は、現金150億~200億ドルとロスネフチの株式10~20%で支払われると見られる。
 AARもロスネフチに持ち株50%を同額で売却することで仮合意し、覚書に調印している。
 TNK-BPの買収が成功すれば、ロスネフチの原油生産量は日量315万バレルとなり、米石油大手エクソンモービルの同230万バレルを上回る。株式公開企業としては、世界メジャーとなる。

Financial Timesの報道姿勢―ロシア石油産業の最も重要な再編―
 ロシア石油生産を民間から国営へ移すこの取引は、かつて同国最大の民間石油会社であったユコスの2004~2007年の解体以来、ロシア石油産業の最も重要な再編となると報じた。しかしBTとAAR両方の持ち株を取得することに対して、「ロスネフチがTNK-BPの100%の持ち株を取得する金銭的余裕はない」というアナリストのコメントを紹介した。たとえTNK-BPの半分しか買わなくても、ロスネフチはエクソンモービルやロイヤル・ダッチ・シェルより多くの原油を生産することになるだろうと分析した。

The New York Timesの報道姿勢―ロスネフチがTNK-BPを実質的に支配―
 ロスネフチがTNK-BPのすべてを買収したいのか、どちらか価格の条件のよいほうを買収するつもりかは不明である。しかし、いずれにせよ、ロスネフチはTNK-BPを実質的に支配し、ロシアで石油とガスの保有を大きく拡大する。そしてBPはAARとの争いから解放され、プーチン政権と密接な関係を持つロスネフチとの連携を強化することができると報じた。また、モルガンスタンレー誌の「ロスネフチに吸収されても、TNK-BPは高配当を払い続ける仕組みになっているため、BPは長期的に利益を得るだろう」との記事を紹介した。

The Wall Street Journalの報道姿勢―世界最大の石油貿易王となるか―
 状況は流動的で、1つあるいは両方の取引が不成立となるとの指摘を紹介した。両方の取得はロスネフチにとって財政的に大きな負担であるため、恐らく最終的には1社だけ買収するだろうと報じた。
 BPに近い関係者のコメントとして、「ロスネフチの株はBPの国内石油会社との関係を強化するのに役立ち、北極海での共同資源開発など、ロシアのほかの分野で利益になる合意への道が開ける」。AARに近い関係者のコメントとして、「もしBPがロスネフチの申し出を受け入れたら、ロスネフチが実質的な支配権を十分に持つため、ロスネフチはAARとの仮契約から手を引くだろう」を紹介した。

Text by NewSphere 編集部